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睡眠・覚醒相前進障害の原因と症状
睡眠相前進症候群とは
睡眠相前進症候群は、夜のはじめ頃から眠くなり、早朝に目が覚めてしまう症状が出現する睡眠障害です。一般的な人と比べて、就寝と起床時間が早いことが特徴です。目安として、眠りたい時刻よりも2~3時間早く就寝することが多いです。高齢者に発症しやすい睡眠覚醒リズム障害の一つです。
原因について
加齢に伴って、必要となる睡眠時間が短くなること、そして、睡眠リズムの周期が短縮することが、症状を引き起こす要因になっていると考えられます。
一般的には、中年以降に出現するようになり、加齢に伴って発症しやすくなります。
家族性の場合はありますか?
家族性睡眠相前進症候群と呼ばれる稀な病気があります。遺伝性の睡眠障害であり、常染色体優性遺伝の形式です。
出典:Advanced sleep phase syndrome, familial – Genetic and Rare Diseases Information Center
症状について
夜早い時間にだんだん眠たくなり、起きていられない状況になります。そして、就寝時間が早いので、早朝に目が覚める症状が出現します。しかし、覚醒しても、再び眠りに入ることができないので、満足できません。
夕方以降の活動について、眠気が生じるので支障をきたすことがあります。特に、夕刻を過ぎてからの車の運転は注意を要します。さらに、夕方や夜間帯のシフトで働くことに、適応できません。一方、日中の活動については、問題なくできることが多いです。
出典:Advanced Sleep Phase Syndrome – Stanford Health Care
睡眠相後退症候群が夜型の生活パターンであるのに対して、睡眠相前進症候群は、極端な朝型人間と言えます。
診断の方法
通常の生活リズムと比較して、早寝と早起きの状態が3ヶ月以上続いていることを確認します。医師が、あなたの就寝と起床時刻、夕方遅くにから眠くなり、早朝に目覚める睡眠・覚醒リズムを聞き取り、睡眠相前進症候群の診断を確定します。
具体的には、睡眠日誌の記録を2週間続けて、睡眠リズムを評価します。場合によっては、アクチグラフィを使用することもあります。
問診による評価で済むことが多く、終夜睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害の合併が考えられるときのみ検討します。
出典:Advanced Sleep-Wake Phase – Sleep Education by AASM
鑑別すべき病気や状態として、慢性の不眠症、睡眠衛生の不良、うつ病などがあります。
治療法について
睡眠リズムを遅らせる目的のため、就寝前に高照度光療法を行うことが有効です。具体的には夜7時から9時くらいが目安です。夕方以降に自然光を浴びることも心掛けましょう。 一般の人と同じような睡眠と覚醒リズムに修正するため、体内時計を調節します。
明るい光によってメラトニンの分泌は抑制されます。
一般的に、夕方の光は睡眠と覚醒リズムを後退させる働きがあります。
出典:文部科学省
薬物による治療については、殆ど行われていません。理論的には、早朝にメラトニンを服用すると睡眠覚醒リズムが後退しますが、保険適応の薬がないこと、睡眠相前進症候群での治療成績に関するエビデンスが乏しいこと、および、眠気を生じることがあるので、投薬は行われていません。