- ホーム
- 夜中に眠りながら自覚なく食べてしまう睡眠障害
夜中に眠りながら自覚なく食べてしまう睡眠障害
睡眠関連摂食障害とは
睡眠関連摂食障害は、深い眠りのときに、脳が部分的に覚醒してしまうことで、睡眠中の摂食行動が問題となるものです。夜中に起きて食べることが多いですが、中には、記憶がないままに、調理している場合もあります。
ノンレム睡眠のときに起きる異常行動の一種であり、夢遊病と同じカテゴリーの睡眠障害です。睡眠関連食行動障害とも呼ばれる女性に多いパラソムニアです。
原因について
睡眠と摂食の二つの調節メカニズムに問題が起きて発症している可能性がありますが、正確な原因は分かっていません。
それでは、どんな要因があると睡眠関連摂食障害が起きやすいかというと、精神ストレス(悩み、不安の要素)、極度のダイエット(減量のプレッシャー)睡眠不足などがあります。この病気は、女性に多いことが知られています。食事に対する捉え方の違い、食欲の亢進なども関係しているようです。
薬剤(睡眠薬、精神安定剤など)などとの関連もあり、特に、ゾルピデムによる副作用はよく知られています。
出典:Sleep-related eating disorder – Cleveland Clinic
症状の特徴について
睡眠中に起き上がり食べる行動を繰り返すこと、そして、エピソードを覚えていない、思い出すことができないことが特徴です。
具体的な事例として以下のようなものがあります。
- 一度、ベッドに眠ったんだけど、真夜中にベッドから起きてキッチンに行って、冷蔵庫の食品を食べていたようです。
- 翌朝、家族に言われて初めて気づいたんだけど、まったく覚えがない・・・
- そう言えば、最近、深夜に無意識に食べることがあって、体重が増えてきた・・・
- 朝方の胸焼けが気になります。
睡眠関連摂食障害では、身体に影響する「食の行動異常」が起きます。脂質、糖質の多い食品を食べる傾向がありますが、まだ調理していない食品、本来口にすることはない物まで食べることがあります。そして、無意識に調理をしてしまうので、火傷や怪我をする危険があります。
繰り返し起こる夜間の摂食によって健康問題が起きることも問題です。
健康への影響の具体例として、歯への影響、代謝異常と体重増加、消化器症状、そして、睡眠の質が低下することがあります。
治療法について
治し方は確立されていません。睡眠外来で使用されている治療薬としては、クロナゼパム、トピラマートなどの抗てんかん薬があります。抑うつ症状を呈しているときは、フルボキサミン、パロキセチンなどの抗うつ薬を処方することがあります。
出典:Auger RR. Sleep-related eating disorders. Psychiatry (Edgmont). 2006;3:64-70.
何科を受診すれば良いかという質問をよく受けますが、精神ストレスが背景にあることが多いので、精神科、心療内科が担当となるケースが多いです。薬剤性要因によるものであれば、薬を減らす、変更することを主治医と相談しましょう。
睡眠関連摂食障害に、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、夢遊病などが合併しているときは、それらの睡眠障害の治療を行うことが重要です。
予防法について
睡眠関連摂食障害を予防するために、ストレスのコントロールを勧めます。職場、家庭、プライベートなどで気になっていることがあれば、問題を解決するために、周囲に助けを求めることも大切です。
食生活では、アルコール摂取の習慣があれば、中止することも対策として必要です。
生活リズムの乱れと寝不足が影響することが多いので、夢遊病のときの対策と同じく、睡眠時間を規則的に、そして、十分な睡眠時間を確保してください。