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寝ている時に息が止まる・息苦しいなら無呼吸かも?
夜中の呼吸苦で目覚める:何が起きているか?
夜間に息苦しくて目が覚めるという体験は、睡眠中の呼吸パターンが乱れることで生じることがあります。
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に呼吸が繰り返し浅くなったり、一時的に呼吸がに止まったり、異常な呼吸が頻繁に起こります。そして、体が「酸素不足になっている」と気づき、努力呼吸を引き起こします。
低酸素血症を解消しようとして、がんばって呼吸することは、自覚がないまま起こることも少なくありません。突然大きく息を吸い込むような感覚で目が覚めたり、胸が締め付けられるように感じることもあります。
夜間の頻回な覚醒は眠りの質を下げてしまい、疲れや日中の眠気につながります。こうした呼吸の停止や浅い呼吸の繰り返しが、睡眠の断片化を引き起こします。
考えられる原因について
寝ている時に息が止まる、または息苦しいと感じるとき、鑑別すべき病気として睡眠時無呼吸症候群があります。この病気があると、睡眠中に上気道が閉塞したり狭くなったりすることで呼吸が不安定になり、低酸素血症を解消しよとして呼吸が再開されるたびに、覚醒反応が起きます。

睡眠時無呼吸は、いびきをかきやすい人や肥満気味の人で起こりやすく、大きないびきがサインになります。家族に無呼吸発作を指摘されて病気の存在に気付くこともあります。
息が苦しく感じて目覚める原因として、パニック発作や不安障害によって夜間に急に呼吸困難を感じることもあります。こころの病気はストレス反応として現れるものです。
その他にも、逆流性食道炎によって胃液が気道に入り込むことや、心臓の病気、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患などが同じような呼吸苦をきたすこともあり、医師による評価が大切です。
溺れる夢を見て目が覚めるのはなぜ起こるのか
海や川で溺れる夢や息ができない夢を見て、途中で目が覚める経験をお持ちの方はいませんか。実は、この不快で息苦しく感じる現象は睡眠中の酸素不足や不安定な呼吸と脳の反応が関係していると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに血中の酸素レベルが低下することがあり、その身体的な不快感が夢の中で「窒息する」「水に沈む」といった形で表れることがあります。実際に、睡眠外来でも患者さんから「溺れるような夢を見た」というコメントを聞いたことがあります。
このような夢は、睡眠中の低酸素状態が脳にストレス信号として伝わることによる脳の警告反応という解釈があります。つまり、生命に危険が生じている事象が反映されていると言えるかもしれません。
頻繁に溺れる夢を見る人は、夜間の呼吸状態に注意してみましょう。悪夢や不安感に見える夢も、実は治療が必要な病気が潜んでいる場合があります。
突然「息ができない」と感じる睡眠中の状態は危険か
睡眠中に突然「息ができない」と感じることは、放置すべきでないサインです。呼吸苦を繰り返す場合や、強い苦しさを伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群、心臓、肺の病気が背景にある可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群では、何度も生じる無呼吸発作による低酸素血症と交感神経の亢進によって、心臓と血管に負担をかけます。

また、心不全や他の循環器あるいは呼吸器の疾患が原因で、夜間に突然息苦しいと感じる場合もあり、症状が続く場合は医療機関での検査と評価が必要です。
睡眠時無呼吸症候群はどんな病気なのか?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気で、大きく分けて閉塞型と中枢型の2種類があります。このうち、いびきをかくタイプが閉塞性です。

閉塞型睡眠時無呼吸は、夜間に上気道が部分的または完全に閉じることで呼吸が停止し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が妨げられます。異常な呼吸によって頻繁に目が覚めることがありますが、本人は気づかずに眠っていることも少なくありません。睡眠の断片化が起きることで、日中の強い眠気や集中力の低下が問題になります。
一方、心不全あるいは脳梗塞に併発することが多いタイプが中枢型睡眠時無呼吸です。チェーンストークス呼吸という特徴的なパターンを呈することもあります。「ぐっすり眠れない」といった不眠の悩みを訴えることが多いです。
上記にある臨床症状と合わせて、10秒以上呼吸が止まる無呼吸、もしくは呼吸が弱くなる低呼吸が、1時間あたり5回以上みられるときに、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
放置すると起こりうるリスク
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、日中の眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧、心血管疾患、糖尿病など様々な健康リスクが増加することが報告されています。
この病気により慢性的な酸素不足が続くと、自律神経の中で、血圧と心拍数の上昇をきたす交感神経が夜間だけではなく日中にも優位になってしまいます。
長い間、治療しないで放っておくと、脳卒中や心臓発作、突然死が起きやすくなります。また、睡眠の質が悪い状態が続くことで、仕事や運転中の事故リスクが増えることもあります。
病院を受診すべきタイミング
夜中の息苦しさや呼吸が止まって苦しい感じが何度もあり、日中の強い眠気がある場合は医師の診察を受けましょう。一般的には内科、呼吸器内科、循環器内科などの診療科が適切です。睡眠外来を併設している医療機関があれば、良い候補になるでしょう。

夜間の呼吸苦の要因として体の病気が否定されている場合は、精神科、心療内科などのメンタルヘルスの評価も大切です。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、終夜睡眠ポリグラフ検査による評価を検討します。この精密検査では、呼吸停止の頻度や血中酸素レベルが分かります。
検査中は、ビデオ撮影もあるので、実際のいびき呼吸、苦しそうな呼吸などの観察も同時に行われます。そして、睡眠時無呼吸症候群の重症度によって、適切な治療法が選択されます。
セルフケアについて
夜中に息苦しさを軽減するためには、生活習慣の改善が役立ちます。
例えば、寝る前の過度なアルコール摂取や喫煙を控える、適切な体重管理を行う、横向きで眠る姿勢を心がけるといった方法です。また、アレルギー性鼻炎や鼻づまりがある場合には、鼻腔を広げるテープも役立つ可能性があります。

これらは症状の軽減につながるかもしれませんが、根本的な原因が睡眠時無呼吸症候群、循環器あるいは呼吸器の病気である場合は、医師による治療が必要です。
出典:Obstructive sleep apnoea – healthdirect


