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いびきで病院に受診するきっかけ・相談すべき症状
はじめに

「最近、私のいびきがひどいって言われるんです…」
そう打ち明ける方の多くは、自分では音の大きさも回数もわからず、ただ、音の問題を指摘される恥ずかしさや迷惑をかけている申し訳なさを抱えています。
心の奥には「もしかして、健康に何か影響しているのではないか」という不安がじわりと広がっています。朝起きても疲れが取れない、頭が重い、日中眠くて集中できない…。これは単なる生活習慣の問題でしょうか、それとも、体が教えてくれる危険信号でしょうか。
実はこうした症状は「いびきをどうすべきかという受診の目安」と重なる部分が多く、早めに原因を確認することが安心につながります。その一方、「いびきの悩みは何科で診てもらえばいいのか分からない」という、患者さんの声も多く聞かれます。
このページでは、代表的な受診のきっかけ や具体的な受診の目安、適切な診療科の選び方 をご紹介します。
来院のきっかけについて

2025年1月から7月までに、いびき治療を求めて阪野クリニックに来院された初診時のカルテ(院長が聞き取った内容)を解析した上で、回答が多かったものを紹介します。
- パートナーや家族から「いびきがうるさい」と言われた
- 旅行先や出張で同室の人に迷惑をかけたくない
- 健康診断や人間ドックで「SASの疑い」と指摘された
- 睡眠アプリで自分のいびきを聞いて驚いた
- 眠気、だるさがあり、ネットで調べて不安になった
いびきそのものが恥ずかしいという思いのほか、「健康に影響しているのでは?」という不安や、「人間関係に悪影響が出そう」という心配が、受診のきっかけになることが多い印象です。これらは、来院を決意した動機になっていると考えられます。
子どもの場合では、成長と発達に影響する可能性があるので、早めに調べて対処したいという要望がよくみられます。
受診の目安について

1. 家族や同居人からいびきを指摘されて周りが眠れない
本人は眠っているため自覚が難しいですが、同じ空間で寝ている人が「眠れないほどの大きないびき」を感じる場合、本人の「睡眠の質」が低下している可能性が高いです。
断続的ないびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインであることも少なくありません。放置すれば、うるさい音のために家族の睡眠不足だけでなく、本人の健康リスクにも直結します。
家族だけでなく旅行や出張で同室になった友人や同僚に「いびきがひどい」と指摘されるケースもあります。楽しいはずの旅行で相手の眠りを妨げてしまった罪悪感や恥ずかしさがきっかけとなり、「このままでは迷惑をかけ続けてしまう」と受診を決意する人も少なくありません。したがって、旅行中のいびきの問題に直面したときも、病院に相談するきっかけになるかもしれません。
2. 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
呼吸停止はSASの典型症状です。無呼吸が繰り返されると、血中酸素が低下し、脳や心臓に負担がかかります。長期的には高血圧、不整脈、脳卒中、心不全のリスクを高め、突然死の要因になることもあります。
出典:How Chronic Snoring Can Cause Heart Disease – Michigan Medicine
3. 朝起きても疲れが取れていない
睡眠は時間だけでなく「質」が重要です。無呼吸や低酸素状態により深い眠りが妨げられると、十分な睡眠時間をとっても疲労が残ります。眠りが浅い状況によって生じる「慢性的な疲労感」は、生活の質を大きく損ないます。
4. 日中の眠気や集中力低下が続いている
実際に、会社の社用車を運転中に眠気でヒヤリとした、あるいは接触事故を起こしてしまったという方もいます。中には、軽い物損事故や追突事故を起こし、その後の職場のSAS検診や産業医の勧めでPSG検査を受けた結果、睡眠時無呼吸症候群と診断されたケースもあります。
5. 健診で高血圧や心臓病、糖尿病のリスクを指摘された
SASは生活習慣病との関連が強く、特に高血圧、糖尿病の患者さんの多くに閉塞型睡眠時無呼吸が潜んでいるといわれます。血糖値や心血管リスクが高い方は、早めの検査をおすすめします。
何科への受診が良いか?

いびきの原因は、気道の構造、顎の形態、鼻や喉の病気、肥満、生活習慣(アルコール、喫煙の影響)、更年期などさまざまです。症状や背景に応じて次の診療科あるいは専門外来の名称が候補になります。
名称 | 特徴 |
---|---|
睡眠外来 | 睡眠時無呼吸症候群などの診断と治療に対応します。併発している睡眠障害の治療も受けられます。 |
耳鼻咽喉科 | 鼻中隔弯曲、口蓋扁桃肥大、鼻炎など上気道の解剖的問題の診断が得意です。手術の治療が相談できます。 |
内科 | 高血圧や心疾患リスクが高い場合など、SASと密接に関連している生活習慣病の一括管理ができます。 |
まずは、睡眠外来や耳鼻咽喉科で原因を確認するのが一般的です。そして、適切ないびきを治す方法を考えます。
迷っているときは、最寄りの内科で相談し、必要に応じて終夜睡眠ポリグラフ検査ができる医療施設を紹介してもらう方法もあります。
子どものいびきの場合は、小児科、耳鼻科の診察を推奨します。特に後者は、アデノイド・口蓋扁桃肥大の手術適応の判定を行うことができます。