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遺伝性プリオン病が引き起こす不眠
致死性家族性不眠症とは
プリオン病の一種であり、初期症状として、不眠と日中に夢を見て眠る症候が出現する稀な病気です。家族性に発症し、予後が不良であるため難病に指定されています。
英語の病名は、どのように表現されていますか?
fatal familial insomniaです。
原因について
プリオン蛋白と呼ばれる異常な構造を有する蛋白質が、何らかの理由によって脳に蓄積します。そして、脳神経細胞の機能に障害を引き起こすことで、病気が発症すると考えられています。
致死性家族性不眠症は、プリオン病の中で、遺伝子の変異によって発症するタイプです。PRNP遺伝子の変異が、常染色体優性遺伝性で発病に関わっています。
出典:Genetic and Rare Diseases Information Center
感染症法によって、医師の届け出が必要になります。
症状について
発病すると、初期から重度の不眠が生じます。その後、緩徐進行性に精神運動障害が出現します。具体的には、幻覚、認知機能の低下、運動失調が現れます。発汗、体温の上昇、頻脈などの自律神経症状も併発します。
脳にある視床が障害されることによって、各種の症状が引き起こされます。
末期には、高度の意識障害になって死亡します。嚥下機能の低下によって、誤嚥性肺炎になりやすいことが死因に関係しています。
どの世代に発症することが多いですか?
40~50歳代で発病することが多いです。
出典:難病情報センター
診断の方法
症状の経過(進行性の精神機能の悪化、協調運動の障害、不眠など)と家族歴を聴取します。頭部MRI検査、PET検査による脳の評価、、血液検査、そして、遺伝子検査により診断を確定することができます。
睡眠障害を評価するため、終夜睡眠ポリグラフ検査を施行することがあります。
致死性家族性不眠症と鑑別すべき疾患として、レム睡眠行動障害、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症などがあります。
「自分の症状が、致死性家族性不眠症かもしれない」と心配になったときは、どの診療科に相談すればよいですか。
脳神経内科です。
治療について
この病気に効果のある治療法はありません。身体の機能低下に対する支持療法が中心になります。不眠に対しては、睡眠薬を処方します。