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大学生が平均何時間眠るべきか解説します
何時間の睡眠が理想であるか知りたい方へ
大学生になると、高校生の頃と比較して、生活スタイルが変わることが多くなります。授業の時間割が多様化し、寮・下宿生活または一人暮らしが始まる人もいます。
自動車免許が取得できるようになり行動範囲が広くなること、20歳を超えて飲酒が可能になることなど、生活面でも変化が訪れます。
体力もあることから夜更かしが多くなり、寝不足が続く場合もあります。さらに、一人暮らしでは、養育者による注意が行き届かないので、生活リズムが不規則になる学生もいます。
今回は、大学生になる人が知っておきたい睡眠時間の重要性を学びましょう。
国内の統計から分かること
内閣府が調査した報告によれば、20~24歳までの年齢では、平均就寝時刻が0時31分でした。一方、平均起床時刻は7時56分でした。この統計データから計算すると、大学生の年齢層において、平均の睡眠時間は7時間25分と概算されます。
ただし、大学生以外の社会人が含まれているデータであるので、参考程度にしたほうが良いと考えます。
ところで、平成13年度から厚生労働省が実施している子どもの統計調査(平成29年から文部科学省との共管)があります。
19歳(大学1年生に相当する)の睡眠時間の統計から抜粋したデータを紹介します。
19歳になると18歳の睡眠パターンと比較して、平日の起床時間が午前7時29分以前である人が減り、午前7時30分以降に起床する人が増えています。さらに、起きる時間が不規則である人が増加しています。日曜日の起床時間は、高校生3年生の年齢のときと比較して、午前9時以降に起きる人の割合が増えます。
大学生になると、1限目の講義がない日の朝は、ふとんの中でゆっくりとしているかもしれません。そして、授業のない休日は遅く起きるようになる印象です。普段の寝不足を代償している可能性があります。
一方、寝る時間は、高校生3年生のときと比較すると、平日・土曜日ともに、午前1時以降の人の割合が大幅に増加します。また、午前0時29分以前に寝る人が減少しています。
出典:21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)第19回調査 – 文部科学省
これらのデータから読み取れることは、大学生は高校生の頃と比べて、夜更かしの傾向が強くなることです。結果として、朝早い時間に起きられないこと、そして、休日に朝寝坊が目立つようになります。実際には、相当数の学生が不規則な睡眠リズムになっている可能性があります。
平日の睡眠負債を休日に返済しているパターンになっている大学生が少なくありません。普段は、睡眠不足の状態で過ごしているかもしれません。
大学生は自分が選択する科目によって、朝一番から始まる授業がない時間割になる場合があります。そのため、遅寝、遅起きになりがちです。さらに、高校生活から解放されたという気持ちもあり、夜更かしが多くなることも関与している可能性があります。
農林水産省が「大学生の食育」を調査した報告書の中に、生活習慣の実態に関するデータがあります。
公表されたデータによれば、一人暮らしで自炊している大学生では、朝8時以降に起きる人の割合が男性では28.8%、女性では13.6%でした。男性のほうが、起床時間が遅い割合が多い結果でした。
一人暮らしで自炊している大学生のほうが、自宅、寮、下宿から通学している学生よりも朝8時以降に起床する割合が高くなっています。
就寝時間については、午前1時以降に寝る人の割合が、男性:35.5%、女性:25.3%という結果でした。そして、一人暮らしで自炊している大学生が午前1時以降に寝る割合が高いようです。
出典:平成28年度 大学生を対象とした食育に関わるアンケート調査報告 – 農林水産省
一人暮らしになると、自宅生、寮・下宿性と比べて、遅寝・遅起きの傾向がある印象です。この傾向は男性のほうが目立っています。
自分で家事全般をする必要があり夜遅くまで起きていること、そして、自分で生活スタイルを決められることなどの要因が、睡眠相を後退させている可能性があります。
自分の気の向くまま、スマホをしたり、オンラインゲームに夢中になって、深夜になってしまう大学生もいます。
特に、男子の大学生が一人暮らしを始めるときは、睡眠リズムが崩れないように、日頃から注意が必要です。
睡眠不足の影響
国内の大学生の睡眠と不登校に関する研究では、大学生の寝不足が、午前の授業に対する意欲の低下、抑うつ症状と関係していることが報告されています。そして、不登校の傾向になることが示唆されています。
出典:黒川泰貴他: 大学生の睡眠状況が不登校傾向に及ぼす影響, 東京成徳大学臨床心理学研究13,2013,3-16
広島大学で行われた大学生の睡眠に関するアンケート調査を集計した結果では、不眠の症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など)を抱えている学生が多いことが判明しています。
睡眠不足あるいは睡眠の質が低下していることに、不満を持っているようです。平日の睡眠時間が6時間6分であるのに対して、休日は7時間47分になってことが報告されています。
出典:三宅典恵他: 大学生を対象とした睡眠調査について, 総合保健科学, 広島大学保健管理センター研究論文集,31:7−12,2015
大学生では、慢性の睡眠不足を抱えている場合が多いことが推察されます。本人が気づいていない場合が少なくありません。眠れていない状況はメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、不登校、退学につながる可能性があります。
大学生の推奨されている睡眠時間
米国の国立睡眠財団は、18歳~25歳の若い成人(4年制あるいは6年制の大学生に相当します)に必要な睡眠時間が7~9時間であると公表しています。ただし、6時間および10~11時間の睡眠については適切である可能性も示しています。
出典:How Much Sleep Do You Really Need? – National Sleep Foundation
米国疾病予防管理センターによる勧告では、18歳以上の成人について7時間以上の睡眠を推奨しています。
出典:Are You Getting Enough Sleep? – CDC
大学生は18歳以上の成人として扱われています。そのため、成人の基準が使用されています。
おすすめ
朝すっきり目覚めて、遅刻せずに大学に行くこと、そして、講義に居眠りをせずに勉強するためには、就寝と起床時刻を決めておくことが大切です。
睡眠専門医の立場から言うと、大学生では、夜11時30分に寝て朝6時30分に起きるパターンで7時間の睡眠時間を確保しましょう。
もし、起きられない、あるいは、日中の眠気が残っているなら、30分から1時間ほど、長めに寝てみましょう。そして、日中の集中力が保たれているか、確かめることを勧めます。