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睡眠時間が短い体質をもつショートスリーパー
短時間睡眠者とは
体質的に短時間睡眠をとるだけで、日常生活を支障なく過ごすことができる人を意味します。通常、6時間未満の睡眠で健康状態に問題がないことが基準です。
自分の意志で睡眠時間を制限していなくても眠気が生じないので、英語ではnatural short sleeperと呼ばれています。
出典:MedlinePlus
睡眠障害の国際分類では、短時間睡眠者は不眠症のグループの中の孤発症状と正常範囲の異型に分類されています。なぜなら、短時間の睡眠であっても、自覚症状が出現せず、日中の活動に影響しないからです。
一方、10時間以上の睡眠が必要である体質の人は、長時間睡眠者と呼ばれています。
短時間睡眠の人々について
有名人として、イギリス元首相のマーガレット・サッチャー、米国の元大統領であるビル・クリントン、フランス皇帝ナポレオンは、4時間未満を睡眠をとっていたようです。さらに、レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、ナイチンゲールなどの偉人も短時間睡眠者でした。
出典:Google Answers – Famous 4-hour sleepers
睡眠時間の状況について
20歳以上の国民を対象とした調査では、6時間未満の者の割合は、男性:37.5%、女性:40.6%でした。特に、男性の30~50歳代、女性の40~50歳代において、約半数の人が6時間未満の睡眠をとっていることから、短時間睡眠で過ごす中年世代が多い印象です。
短時間睡眠になっている理由として、20歳代では「就寝前にスマホ、メール、ゲームに時間を使っている」、30~40歳代の男性では「仕事」、そして、30歳代の女性では「育児」が報告されています。
原因について
短時間睡眠になる詳しい理由は分かっていません。短い睡眠時間で昼間に眠気を感じることなく、元気に過ごすことができる体質は、遺伝子が関係していると考えられています。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によって、転写抑制遺伝子DEC2が短時間睡眠者に関係していることが分かりました。
その後、同グループがショートスリーパーの家系調査を行いました。その結果、β1アドレナリン受容体をコードする遺伝子ADRB1が、原因遺伝子として発見されました。
症状の特徴について
短時間睡眠者は、概ね6時間未満の睡眠をとる習慣を続けても、眠気を訴えることはありません。楽観的で精力的に活動する傾向があります。さらに、一般の人と比較すると、同時に複数のことをすることが得意です。
出典:University of California San Francisco
睡眠不足症候群および不眠症との違い
短時間睡眠者 | 睡眠不足 | 不眠症 | |
---|---|---|---|
原因 | 体質的な要因、遺伝子の関与が指摘されている | 何らかの理由によって睡眠時間が短くなっている | 原発性と二次性(体と心の病気、ストレス、環境など) |
睡眠 | 6時間未満 | 必要な睡眠時間より短い | 必要な睡眠時間より短い |
特徴 | 眠気や集中力の低下を訴えることがない。精力的に活動することが多い。 | 日中の眠気があり、日常生活に支障が出る。週末や休日では睡眠時間が長くなる。 | 寝つきが悪い。途中で目が覚める。睡眠の質が低下している。 |
出典:Short Sleeper – Sleep Education by AASM
診断の方法
普段の睡眠のリズムと時間を睡眠日誌に記録します。そして、1週間以上において、6時間未満の睡眠をとっていることを確認します。そして、健康の問題がなく、昼間の眠気、集中力の低下などを訴えないときは、ショートスリーパーと診断します。
同世代の人と比較して睡眠時間が短い状況が続いても、日中の活動について問題がなく、睡眠と覚醒に関して不満がなければ、体質的な要因による短時間睡眠者と言えるでしょう。
短時間睡眠になる方法は確立されていない
ショートスリーパーは体質的な要因が関係しています。一般の人が、意図的に睡眠時間を短くすることは、健康障害が出る恐れがあるので、逆効果になります。やはり、朝スッキリ起きるためには、自分にとって相応しい睡眠時間をとることが重要です。