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レンボレキサントとスボレキサントの比較と使い分け方
デエビゴとベルソムラは何が違うか?
デエビゴとベルソムラは、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれる睡眠導入剤です。入眠障害、中途覚醒の症状に対して効果が認められている不眠症の治療薬です。
両方とも目覚めを促す働きのあるオレキシンの作用を弱める点では同じですが、薬の効き目、効果発現時間、併用禁忌、薬理作用は異なります。
今回は、レンボレキサントとスボレキサントの相違点、どちらが良いか迷っているときの使い分けのヒントを解説します。
デエビゴとベルソムラの比較
デエビゴ | ベルソムラ | |
---|---|---|
製造会社 | エーザイ | MSD |
有効成分 | レンボレキサント | スボレキサント |
剤形 | 2.5mg、5mg、10mg | 10mg、15mg、20mg |
一包化 | できる | できない |
効能と効果 | 不眠症 | 不眠症(二次性不眠症に対する有効性と安全性は確立されていない) |
成人の用量 | 5mg~10mg(最大) | 20mg |
高齢者の用量 | 5mg~10mg(最大) | 15mg |
CYP3A阻害薬の併用 | 2.5mg | 10mg |
禁忌 | 重度の肝機能障害 | CYP3Aを強く阻害する薬剤投与中 |
最高血中濃度到達時間 | 1.3時間(2.5mg反復14日投与) | 1.5時間(10mg反復14日投与) |
血中濃度半減期 | 50.6時間(2.5mg投与) | 10.0時間(40mg投与) |
副作用 | 傾眠、頭痛、倦怠感、浮動性めまい、異常な夢、悪夢、悪心、体重増加 | 疲労、傾眠、頭痛、浮動性めまい、悪夢、睡眠時麻痺、異常な夢、入眠時幻覚 |
薬の強さの比較について
オレキシンが結合する受容体には、オレキシン受容体1とオレキシン受容体2があります。二つの受容体の中で、オレキシン受容体2を阻害したほうが、睡眠に対する薬効が強くなります。
レンボレキサントはスボレキサントと比較すると、オレキシン受容体2を阻害する働きが強いことが分かっています。そのため、デエビゴはベルソムラより睡眠を誘発する作用が強いと考えられます。
2020年に発表されたレンボレキサントとスボレキサントに関するメタアナリシスによれば、デエビゴ10mgが睡眠に対する効果として最も高いことが報告されました。
どちらが早く薬の効果が現れるか?
ベルソムラと比較すると、デエビゴのほうがオレキシン受容体2を阻害する作用が強いこと、そして、最高血中濃度到達時間が短いという理由があるので、効果発現が早いです。ゆえに、デエビゴは入眠困難に対しても有効であると言えます。
どっちが効き目が長いか?
デエビゴの血中濃度半減期は、ベルソムラよりも長いです。薬の有効成分が体内で代謝される時間を考慮すると、デエビゴほうが効果時間が長く、効き目が長いと言えます。
デエビゴとベルソムラの価格の違い
1.デエビゴの価格
レンボレキサント | 薬価 |
---|---|
デエビゴ錠2.5mg | 52.1円/錠 |
デエビゴ錠5mg | 82.7円/錠 |
デエビゴ錠10mg | 123.6円/錠 |
2.ベルソムラの価格
スボレキサント | 薬価 |
---|---|
ベルソムラ錠10mg | 69.3円/錠 |
ベルソムラ錠15mg | 90.8円/錠 |
ベルソムラ錠20mg | 109.9円/錠 |
有効成分の量が多い剤形になると、値段が高くなります。通常、成人に処方されることが多い用量は、デエビゴ5mgとベルソムラ20mgです。
よく使われている睡眠薬の剤形について薬価を比較すると、デエビゴ錠5mgのほうが、ベルソムラ錠20mgより安いことが分かります。ただし、最大用量のデエビゴ錠10mgは、最も高い薬価です。
デエビゴとベルソムラを併用してもよいか?
ベルソムラとデエビゴは、両方ともオレキシン受容体拮抗薬に分類されており、同時に服用することはできません。
使い分けのヒント
中途覚醒、早朝覚醒で悩んでいるときに、ベルソムラとデエビゴは、症状の改善に役立ちます。
レンボレキサントの薬理作用の特徴を考えると、デエビゴはベルソムラと比べて入眠困難にも応用できる睡眠薬と言えます。
中途覚醒時間の短縮に対する効果については、ベルソムラがデエビゴより、やや優位な印象です。途中で目が覚める人で依存性のある睡眠薬を避けたい要望がある場合に、選択肢の一つになるかもしれません。
高齢者で、薬の一包化が必要になるとき、他の薬剤との相互作用が懸念されるときは、デエビゴの選択を考慮します。ただし、投与前に肝障害の有無について、評価をしておきましょう。