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レンボレキサントの作用が分かります
デエビゴとは
デエビゴは、オレキシン受容体拮抗薬に分類されている新しい睡眠薬です。脳内にある覚醒状態を維持する神経ペプチド(オレキシン)の働きを低下させて、眠りを促します。
入眠困難および中途覚醒、睡眠維持困難の症状がある不眠症の治療薬として、処方されています。
どんな剤形がありますか?
2.5mg錠、5mg錠、10mg錠の3種類です。
薬を粉砕しても良いですか?
基本的には、安全性、有効性の検討が不十分であるため、錠剤のまま服用することが適切です。
出典:デエビゴ -【医療関係者向け】Q&A hotline Eisai
デエビゴのジェネリック医薬品はありますか?
先発品のみで、後発品は発売されていません。
処方日数制限はありますか?
2021年5月1日から、長期処方が可能です。医師の裁量によって、投薬期間が決められます。
日本で創薬されましたが、2019年、アメリカ食品医薬品局が、成人の不眠症の治療薬(製品名:DAYVIGO)として承認しました。
出典:Dayvigo [prescribing information] (lemborexant), Woodcliff Lake, NJ: Eisai Inc. US.
効果について
スボレキサントは、脳内で覚醒状態に関係しているオレキシン受容体(OX1とOX2の2種類)に対してオレキシンと競合的に結合します。その作用機序によってオレキシンの神経伝達が阻害されるので、覚醒が妨げられて睡眠を促します。
国内で行われた臨床試験によれば、レンボレキサントを服用することで、入眠潜時、中途覚醒、睡眠効率が改善するという結果が確認されています。
服用してから8時間程度でレンボレキサントの血液中の濃度は、最高血中濃度の25%程度まで減少します。朝になると内因性のオレキシンが増えてくるので、日中の活動に影響が少ないと考えられています。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比較して、デエビゴを長期間連続で使用しても耐性が生じにくく、睡眠薬の依存症になるリスクが低いというメリットがあります。
デエビゴを服用すると、有効成分であるレンボレキサントが体内に吸収されます。薬を飲んでから、2.5mgの場合は1.5時間(1.0~4.0時間)、10mgの場合は1.0時間(0.5~6.0時間)経過すると、最高血中濃度に到達します。一方、半減期の平均値は、デエビゴ2.5mgでは50.6時間、デエビゴ10mgでは47.4時間と報告されています。
レンボレキサントは、肝臓でCYP3Aと呼ばれる酵素によって代謝されて消失します。
ルネスタ、アモバン、マイスリーと比較すると、デエビゴの効果時間は長いです。そのため、デエビゴ投与は途中で目が覚める症状があるときに、検討することが多いです。
デエビゴには、どんな効能と効果がありますか?
不眠症です。
寝つきが悪い、あるいは、睡眠の維持が困難がある人に対する治療薬として処方されています。
更年期の女性が悩んでいる症状の一つに、睡眠障害があります。
女性ホルモンの分泌が不安定になることで、血管運動神経症状が現れ、うつ・不安、不眠などが相互に関係します。不眠で悩んでいる更年期障害の女性がレンボレキサントを服用すると、主観的な睡眠が改善することが報告されています。
出典:寺内 公一 他; 更年期女性の不眠に対する治療 ―オレキシンの関与とオレキシン受容体拮抗薬の有用性―,女性心身医学;25(3):191-197, 2021
更年期に差し掛かった女性が不眠を治療するために依存性の少ない睡眠薬を選ぶとき、デエビゴは選択肢の一つになるかもしれません。
副作用について
朝方の眠気、傾眠、頭痛、めまい、疲労感などが現れることがあります。これらは、睡眠薬の持ち越し効果と言われています。集中力の低下が懸念されることから、デエビゴを服用しているときは自動車の運転、機械の操作を避けるよう注意しなければなりません。
その他、悪夢、異常な夢を見る人もいます。レム睡眠に関連した症状です。
薬の服用方法について
成人は1回につき、1錠(主成分レンボレキサント5mg)を就寝前に服用します。ただし、高齢者の場合でも同用量を投与できますが、症状によって増減する必要があります。成人の最大量は10mgです。
併用注意について
抗生物質のエリスロマイシンおよびクラリスロマイシン、抗真菌薬のフルコナゾールおよびイトラコナゾール、カルシウム拮抗薬のベラパミルなどの薬剤は、代謝酵素のCYP3Aを強力に阻害します。
これらの薬剤を飲んでいる人が通常量のレンボレキサントを服用すると、血中濃度が著しく上昇し、副作用の症状が強く発現する危険があります。ゆえに、デエビゴの用量を2.5mgとして、慎重な経過観察が求められます。
他の病気の治療薬を飲んでいる人は、お薬手帳を活用することが重要です。
禁忌について
重度の肝機能障害のある人は、デエビゴを服用することができません。
注意事項について
個人差はありますが、睡眠導入剤を飲んだ翌朝に薬の作用が残って、眠気を感じる場合もあります。 とくに、夜遅い時間に高用量のレンボレキサントを服薬すると、持ち越し効果の発現が高くなるので、慎重に経過をみる必要があります。
デエビゴを飲んでから朝起きれない問題が生じたときは、用量を調節したり、薬を飲むタイミングを変えたりする必要があるので、他の睡眠薬への変更を含めて、担当医に相談してください。
デエビゴの内服は、処方箋の指示に従うことが大切です。薬が効かないという理由で、自己判断によって何錠も飲んではいけません。オーバードーズは危険ですので、止めてください。
アルコールは、中枢神経系を抑制する作用があります。飲酒後にデエビゴを服用すると、血液中のレンボレキサントの濃度が上がる危険があるので、注意してください。