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アレルギー性鼻炎の症状と治療に使う薬
アレルギー性鼻炎はどんな病気でしょうか?
アレルギー性鼻炎とは、空気中に浮遊している花粉、ハウスダストなどの原因物質が鼻の粘膜においてアレルギー反応を起こすことで、鼻水、くしゃみ、鼻づまり症状が出現する病気です。
どんな原因があるか
アレルギー性鼻炎には、季節ごとに植物の花粉が原因となる季節性とハウスダストなどが原因となる通年性の二つのタイプがあります。
春季に飛散することが多いスギ、ヒノキ花粉によるアレルギー性鼻炎は、通称として、花粉症と呼ばれています。カバノキ科の樹木であるハンノキの花粉も同時期に飛散します。その一方、北海道では、シラカバ花粉による季節性アレルギー性鼻炎が多いことが特徴となっています。
他にも、イネ科、キク科の植物が原因となることもあります。オニウシノケグサ、カモガヤ、ハルガヤなどは、イネ科の植物で、夏の花粉症の原因となります。一方、キク科の植物として、ブタクサおよびヨモギがあり、これらは秋の花粉症を引き起こします。
最近では、アサ科の植物としてカナムグラも注目されています。
一方、通年性の原因として多いのは、ハウスダスト、ダニ、カビ、ペット(ふけ、毛)などがあります。
症状について
飛散している植物の花粉、ハウスダストが鼻粘膜でアレルギー反応を起こし、炎症します。私の体の防御反応として、アレルゲンを排除しようと働きます。
主な症状は次の三つです。
- 発作性のくしゃみを繰り返す
- 鼻水が止まらない
- 鼻づまりが続く
鼻粘膜の腫れがあると、鼻孔とつながっている副鼻腔の換気が障害されます。その結果、頭痛が生じる(頭が重い症状)ことがあります。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりは、口呼吸になりやすく、いびき、睡眠時無呼吸の原因にもなります。
鼻炎のほかにも、さまざまな原因があります。
花粉症では、目の結膜、外耳道の粘膜、喉、皮膚など、鼻以外の部位でもアレルギー反応が起きることがあります。そのため、痒みを感じる人もいます。
アレルギー性鼻炎と風邪の違いについては、下記の表を参考にしてください。
アレルギー性鼻炎を調べるための方法
症状の経過を問診で聞き取ります。そして、鼻汁好酸球検査を行います。鼻水の中にアレルギー反応が生じているときに出現する好酸球があるかを調べるためです。
原因となる物質が何か推測するために、血液検査で、想定されるアレルゲンを調べます。特異的IgE抗体検査と呼ばれています。
治療の種類について
1.くしゃみ・鼻水型に使う薬
抗ヒスタミン薬を使います。鼻水を止める作用と痒みを抑える効果があります。最近では、市販薬として入手できるものもあります。
アレグラ、ゼスラン、ザジテン、アレジオン、エバステル、ジルテック、ザイザル、タリオン、アレサガ、クラリチン、デザレックス、ビラノア、ルパフィン、アレロック
2.鼻づまり型に使う薬
抗ロイコトリエン薬を用います。鼻の閉塞感、喘息の症状、咳を抑える効果もあります。トロンボキサンA2阻害薬も使うことがあります。
オノン、キプレス、シングレア、バイナス
3.点鼻薬を活用する
鼻粘膜がアレルギー反応で炎症しているため、ステロイドを鼻腔に局所的に噴霧することで、鼻炎の症状を解消します。パウダースプレーのタイプもあります。
フルナーゼ、ナゾネックス、アラミスト、エリザス、リノコート
血管収縮薬を使うことはありますか?
ドラッグストアで購入できる点鼻薬に含まれている成分の一つです。即効性があり、鼻づまりの症状に効果があります。しかし、長期に使用すると、鼻粘膜が腫れることがあります。そのため、短期間に限り使用するほうが無難です。
4.重症な場合に考える薬
重症例には、抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤を用いることもあります。セレスタミン(ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤)という名称の薬です。後発品もあります。
5.漢方薬を使う
自然の生薬の組み合わせにより、鼻炎の症状を緩和することができます。抗ヒスタミン薬を飲んだときの副作用として多い眠気がないことが特徴です。粉が苦手という方は、錠剤もあります。
6.ノイロトロピン注射を使う
アレルギー反応を抑える作用があるノイロトロピンを静脈注射することで、花粉症の症状を軽減させます。他の治療薬との併用ができます。
アレルゲン免疫療法について
自分の体質を変えることで、アレルギー性鼻炎を根本的に治すことを目的とする治療法です(減感作療法)。鼻炎の症状を引き起こすアレルギーの原因物質を少量投与することで、体が慣れていきます。
「注射の方法」と「薬を舌下に入れて吸収させる方法:舌下免疫療法」があります。
当院は、舌下免疫療法を行っていません。
手術による治療について
耳鼻咽喉科で行われている治療として、下甲介粘膜焼灼術(レーザー治療)があります。レーザーで鼻粘膜を焼灼することで、アレルギー症状を緩和します。しかし、数年経過すると、再発することがあります。
その他、鼻の通りを改善させる目的の手術として、鼻中隔矯正術、下鼻甲介切除術などを検討することがあります。
病院の耳鼻咽喉科を受診してください。
予防法について
基本的には、原因となっているアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)の回避と除去が、鼻炎の症状を予防するのに有効です。
対策の仕方 | |
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季節性 | 各種メディアから提供される花粉の飛散情報に注意し、飛散量の多い時期は、できるだけ外出を控える。マスクとメガネで花粉を防ぐ。空気清浄機による室内の対策など。 |
通年性 | ハウスダスト、ダニ対策として、室内の掃除と換気の徹底、防ダニ性の寝具(シーツ、布団カバー)の活用する。布団には乾燥機と掃除機を使って、アレルゲンを取り除く。 |