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エチゾラムの作用が分かります
デパスとは
デパスは、不安障害および睡眠障害の治療に用いられるベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。気分を落ち着かせて不安を和らげたり、寝つかれない問題を改善させたり、こころの病気に関係する不安、緊張、抑うつのほか、不眠がある人に対して、処方されています。
どんな剤形がありますか?
0.25mg錠、0.5mg錠、1mg錠、そして、細粒1%があります。
どの製薬会社が、デパスを製造していますか?
田辺三菱製薬です。
アメリカにおいて、デパスは治療目的の使用は認可されていません。薬の研究目的のみ、使用されているのが現状です。
出典:Etizolam- US Department of Justice, Drug Enforcement Administration
ジェネリック医薬品について
10社以上の製薬メーカーにおいて、デパスのジェネリック医薬品が製造されています。後発品の名称は、成分名のエチゾラムに製薬会社の名称が追加されています。
先発品 | 後発品 | |
---|---|---|
デパス0.25mg錠 | 9.2円 | 5.9円 |
デパス0.5mg錠 | 9.2円 | 6.4円 |
デパス1mg錠 | 10.1円 | 9.8円 |
デパスの錠剤の後発品は、すべての用量の規格において存在します。しかし、デパス細粒1%(薬価:44.7円/g)の後発品はありません。エチゾラムの先発品をジェネリックに変更すると、価格が安くなります。
効果について
デパスの作用機序は、有効成分であるエチゾラムが脳にあるベンゾジアゼピン結合部位に作用して、中枢神経の働きを抑えます。その結果、抗不安作用や鎮静と催眠作用が生じます。睡眠に対する影響として、睡眠時間の延長がみられます。
デパスの最高血中濃度到達時間は、約3時間です。一方、半減期は6時間です。
筆者が外来で使用した経験では、デパスを内服してから30分から1時間くらいで効き目が生じる印象です。そして、5~6時間、効果が持続するようです。もちろん、個人差はあります。
デパスには、どのような効能と効果がありますか?
うつ病、神経症、心身症における不安・緊張と睡眠障害、および統合失調症の睡眠障害、頚椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛に使用されています。
副作用について
デパス内服の有害事象で多いものは、眠気、ふらつき、めまい、倦怠感、脱力感などです。これらの症状は、薬の催眠作用と筋弛緩作用による影響と考えられます。このような副作用があることから、自動車の運転をさせないという基本的な注意事項を守る必要があります。
重大な副作用として、依存性があります。
デパスを長期に渡って飲んだり、効き目が弱くなったからいう理由で、用量を増やしすぎたりすると、体が薬に慣れてしまう現象が現れます。この状態は、薬物依存症と呼ばれています。薬がなくなると、精神的に不安定になります。
長い間、デパスの効果に頼って飲み続けた状態で、急に服薬を中止すると体調が悪くなる場合があります。離脱症状と呼ばれている現象であり、具体的な症状として、不安、妄想、震え、眠れないといった症状が出現します。
デパスは体内に入ると肝臓で代謝されます。頻度は不明ですが、内服後に肝機能障害が現れる場合があります。そのため、薬を飲み始めてから、肝臓に悪影響を及ぼしていないか、定期的な血液検査で評価を受けることが大切です。
イギリスにおいて、デパスの有効成分のエチゾラムは、ジアゼパムの効果より6~10倍強く、オーバードーズの危険、薬物中毒の事例が報告されています。短い半減期の特徴と記憶の喪失が起きることが、服用量の増加につながる危険があると考えられています。
出典:Benzodiazepine use – current trends: evidence review – The Scottish Government
デパスを飲んではいけない人は、いますか?
急性の閉塞隅角緑内障を起こしている人は、デパスを服用すると眼圧が上がるので、病状が悪化します。そして、重症筋無力症のある人は、薬の筋弛緩作用のため筋力の低下が助長されるので危険です。したがって、これらの病気を持っている人々に対しては、禁忌となっています。
薬の服用方法
成人に対して、1日当たりエチゾラム1.0~3.0mg(総量)を3回に分けて服用します。ただし、高齢者に投与する場合は、最高用量は、1日当たり1.5mgです。
依存性を防ぐために、症状を抑えるときにのみ、薬を飲む場合もあります。さらに、不安、緊張による入眠困難に対しては、就寝前に1錠を服用することもできます。
2016年9月、デパスは「麻薬及び向精神薬取締法」によって第三種向精神薬に指定されました。この法令改正によって、デパスの処方日数の上限は30日になりました。
注意事項について
デパスを飲み始めても効果が得られないという理由で、自己判断で用量を増やすことは止めましょう。さらに、アルコールとデパスを同時に摂取すると、通常より効果が増強されて、副作用の発現が多くなります。
眠れないからと言って、お酒とデパスを寝る前に摂取すると、翌朝の倦怠感、残存する眠気、ふらつき、転倒の危険が高くなります。さらに、デパスとアルコールの両者への依存性が形成されてしまいます。
処方箋に記載された通りに服用することが大切です。
妊娠している女性は、デパスの内服を行わないことが原則です。精神状態のコントロールのために、有益性が危険性を上回ると、医師が判断した場合のみ、処方を考慮します。授乳で子育てをしている女性は、授乳を中止することが安全です。なぜなら、デパスの有効成分が母乳を介して赤ちゃんの体内に入っていまい、成長に影響するからです。