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薬局で買えるドリエルの効能と注意点
はじめに

夜になっても、なかなか眠れない。布団に入ってから何時間も天井を見つめ、スマホで時間を確認するたびに「また眠れない夜が来てしまった」とため息をついていませんか?
明日は大切な会議やプレゼンがあるのに、すぐに眠れなくて焦ってしまう。一旦、寝入っても途中で目が覚めるので困っている。そんな悪循環に陥った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
寝つきが悪いけど、病院に行く時間もないし、薬局で市販の睡眠薬はないものかと探している人もいるかもしれません。一時的な不眠を解決するために販売されている薬が、睡眠改善薬「ドリエル」です。処方箋なしで購入できる市販薬という手軽さがある反面、注意しなければならない点もあるます。
第二類医薬品の催眠鎮静薬という性質上、正しい使い方や注意点をしっかりと理解しておく必要があります。このページでは、睡眠専門医の監修のもと、ドリエルの基礎知識について徹底的に解説していきます。
ドリエルはどんな薬なのか?

ドリエルは、エスエス製薬が製造販売する一般用医薬品(市販薬)の睡眠改善薬です。眠れない方の悩みに応える薬として、医師の処方箋がなくても買える睡眠改善薬の一つとして知られています。
主成分として、抗ヒスタミン薬の一種である「ジフェンヒドラミン塩酸塩」が配合されています。
製品ラインナップとしては、通常の「ドリエル」と、より睡眠効果を高めた「ドリエルEX」の2種類があります。両者とも、有効成分のジフェンヒドラミン塩酸塩が含まれています。ドリエルEXは、早く溶けるようなカプセル製剤になっています。そして、1カプセルで通常のドリエル2錠と同じ効果となっています。
市販の価格について
メーカーの希望小売価格は、6錠入りで1,100円、12錠入りで2,090円です。一方、ドリエルEXは6カプセルで2,420円です。大型チェーンのドラッグストアや薬局において、実際に販売されている価格は異なります。
第2類医薬品のため、薬剤師による販売管理がされており、購入時に使用上の注意などの説明を受けることができます。
効果について

ドリエルの睡眠改善効果は、主成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩の作用によって現れます。この成分は、脳内でヒスタミンの働きを抑制することで、自然な眠気を促進する効果があります。ヒスタミンは覚醒を保つ物質の一つであり、これを抑えることで、穏やかな眠気がもたらされます。
添付文書によれば、ドリエルは一時的な不眠(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和に効果があるとされています。
出典:ドリエル – KEGG
効果の発現時間は、服用後約30分から始まり、個人差はありますが、2.1~2.5時間くらい経過すると最大の効果が得られます。空腹時に服用すると、より早く効果が現れる傾向にあります。
正しい使用方法について

成人(15歳以上)の標準的な服用量は、1回1~2錠です。1日の最大服用回数は1回までとされています。睡眠改善薬として使用する場合、有効成分のジフェンヒドラミン塩酸塩は、1日50mgまでと決められています。
初めて使用する方は、まず1錠から始めることをお勧めします。そして、効果が不十分な場合でも3錠以上を服用してはいけません。
就寝前に、水またはぬるま湯で服用してください。効果の発現に30分くらいかかるので、20分前が目安となります。
副作用について

ドリエルには、睡眠をサポートする効果がある反面、副作用にも注意が必要です。最も多く感じられる変化は、翌日まで残る眠気やだるさです。これは、ジフェンヒドラミン塩酸塩の抗ヒスタミン作用のためです。人によっては、朝、なかなか目覚められない、日中も眠気が続くといった症状を感じることがあります。
また、口の渇きを感じる方も少なくありません。これは、主成分の抗コリン作用によって唾液の分泌が抑えられるために発現します。そして、めまいやふらつき、頭痛や頭重感を感じる方もいます。
服用を開始してから、上記のような症状が現れたら、薬を購入した薬局の薬剤師あるいは最寄りの医師に相談する必要があります。
国内において、ドリエルのオーバードーズによって、意識障害、せん妄、頻脈に陥った20代の女性の症例報告がありました。抗コリン作用を持つジフェンヒドラミンによって、脳と心臓に危険な影響が現れた事例でした。
出典:丸山 史 他; 市販薬塩酸ジフェンヒドラミン(ドリエル)の大量服薬によりせん妄を生じた1例, 心身医学;51(11):1047,2011
別の症例報告では、ジフェンヒドラミン(ドリエル:150錠)を大量服用した20代女性が、治療が難しいてんかん重積状態に陥ったとされています。救命治療を受けたものの、長時間のけいれんにより脳に深刻な障害が残り、意識障害が続きました。
出典:増澤 佑哉 他; 致死量を超えるジフェンヒドラミンの過量服薬により,難治性てんかん重積に至った 1 例, 中毒研究;37:46-49,2024
ジフェンヒドラミンの過剰摂取は、けいれん発作や意識障害を引き起こし、場合によっては生命に関わることがあります。したがって、市販で入手できる睡眠改善薬を大量に服用することは危険なので厳禁です。
ドリエルを飲んではいけない人とは?
服用できない人 | 理由 |
---|---|
妊婦または妊娠の可能性がある女性 | 赤ちゃんの健康を第一に考えて、使用することができません。ドリエルの主成分は胎盤を通過する可能性があり、胎児の成長に影響を与える可能性があるからです。 |
15歳未満の子ども | 小児の身体は成人とは異なり、薬の代謝能力も違います。そのため、予期せぬ副作用が起きる可能性があります。同時に、成長期の脳への影響についても十分な研究データがないからです。 |
毎日のように眠れない人 | ドリエルは、一時的な不眠に対する対処薬として販売されています。毎日眠れないという状態は、何か重要な原因が隠れている可能性があり、医師に相談して本当の原因を見つけ出す必要があるからです。 |
不眠症と診断された方 | 医療機関において不眠症という診断を受けた場合、それは医師による専門的な治療が必要な状況です。市販薬での自己対処は症状を一時的に隠してしまい、病状が悪化する懸念があるからです。 |
有効成分のジフェンヒドラミン塩酸塩には、抗コリン作用があります。そのため、中高年になると発症しやすくなる前立腺肥大、排尿困難がある場合、閉塞隅角緑内障の診断を受けている場合は、眼圧の上昇、尿閉など、病状が悪化するリスクがあるので使用することができません。
安全な使用のための注意事項

ドリエルを服用されるときは、他の薬やお酒との組み合わせに特に気をつける必要があります。なぜなら、副作用を引き起こすリスクがあるためです。
まず、他の眠気を誘う薬との併用は避けましょう。例えば、病院で処方された睡眠薬や安定剤、市販の風邪薬(特に眠気を誘う成分が入ったもの)などと一緒に使うと、効果が増強していまい危険です。
特に気をつけていただきたいのが、アルコール摂取です。ドリエルとお酒を一緒に摂取すると、脳の働きが必要以上に抑えられてしまうので止めてください。
よくある質問と回答
効果が感じられない場合はどうすればよいですか?
ドリエルを2錠服用しても眠れないときは、薬剤師や医師にご相談ください。他の眠れない原因があったり、別の治療法が適していたり、医学的な対応が必要になります。
翌日も眠気が残ってしまうときは?
服用のタイミングや生活習慣を見直すことで、改善することがあります。就寝7~8時間前には服用することを勧めます。「朝、起きれない」あるいは「眠気が強く残る」場合は1錠に減らすことを検討してください。
飲み忘れてしまったときはどうすればよいですか?
深夜や早朝の服用は避けてください。眠気が残る可能性があるため、翌日の予定もよく確認してから服用を検討してください。
誤って多く飲んでしまった場合はどうすればよいですか?
過量服用の場合は、すぐに対応が必要です。強い眠気、吐き気、めまい、意識が朦朧とする症状は要注意です。速やかに医療機関を受診してください。そして、服用量、服用時間、症状の経過を医師に伝えてください。
ドリエルの類似品はありますか?
同じ成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)を含む市販の睡眠改善薬として、ネオデイ、リポスミン、ハイヤスミンA、スリーピンがあります。
ドリエルは1錠だけでも効果がありますか?
薬の成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩は、1錠当たり25mgが含まれています。人によっては眠くなる効果を感じられます。特に初めて使用する方、高齢者、翌朝の眠気を気にする方には1錠から始めることをおすすめします。