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肥満外来で保険適用される漢方薬は?
肥満症と医師によって診断され、医学的な適応条件を満たせば、防風通聖散や防已黄耆湯などの漢方薬は健康保険で処方されます。
重要なポイントは、「肥満=必ず保険適用」ではないという点です。 健康保険が使えるのは、単なる体重増加や美容目的のダイエットではなく、日本肥満学会の基準に基づき「肥満症」という病気であると診断された場合に限られます。

具体的には、BMIが25以上で、高血圧、脂質異常症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、月経異常、変形性膝関節症、脳卒中、狭心症などの健康障害を伴う場合が対象になります。
上記の条件を満たしたうえで、体質や症状(むくみやすい、便秘がち、体力がある/ないなど)を総合的に評価し、 防風通聖散や防已黄耆湯 といった医療用の漢方薬が選ばれます。これらの2種類の漢方は厚生労働省の薬価基準に収載されている医薬品です。
費用はいくらかかるのか?保険は本当に使える?
結論から言うと、肥満症と診断され条件を満たせば、漢方薬は健康保険が使え、自己負担は3割普段で月あたり約2,000〜4,000円程度です。
「漢方治療は高そう」「自由診療では続かないのでは」と心配される方は少なくありません。しかし、医療機関で肥満症と診断された場合、防風通聖散や防已黄耆湯などの代表的な漢方薬は保険適用となります。初診時には診察料や血液検査の費用が加わります。
副作用やデメリットはあるのか?
正直に申し上げると、稀ですが肝機能障害が起こる可能性があり、定期的な血液検査によるフォローが必要です。
漢方薬は「自然由来の生薬で安全」という印象を持たれがちですが、れっきとした医薬品であり、副作用がゼロではありません。肥満症に用いられる防風通聖散や防已黄耆湯では、下痢や腹部不快感、動悸などがみられることがあります。

頻度は高くありませんが、AST、ALTといった肝機能の数値が上昇する、いわゆる肝機能障害が報告されています。特に長期使用や体質に合わない場合には注意が必要です。
医療機関では、治療開始前や継続中に血液検査を行い、肝酵素の数値を定期的に確認します。数値に変化があれば速やかに中止や処方変更を判断します。この点は、自己判断で市販の漢方を飲み続ける方法とは異なり、医師の管理下でフォローしていく安全面の配慮と言えます。
出典:五野 由佳理 他; 漢方薬による薬物性肝障害の症例検討, 日本東洋医学雑誌;61(6):828-833,2010
西洋薬と漢方薬、どちらの考え方が自分に合うのか?
西洋薬は「病気や数値異常への対処」を目的とし、漢方薬は「体質や証へのアプローチ」を重視する治療です。
肥満治療における西洋医学的アプローチは、高血圧、糖代謝異常、脂質異常症といった、すでに現れている病態や検査値の異常を改善していくことを主な目的とします。
GLP-1受容体作動薬、食欲抑制剤のサノレックスなどの西洋薬は、食欲や血糖を薬理学的に調整し、病気の管理や合併症の予防の観点から用いられます。病気としての肥満や関連する病気に対して、明確な治療目標を設定しやすい点が特徴です。

一方、漢方医学では「なぜその病態に至ったのか」という背景を重視します。むくみやすい、冷えがある、便秘がち、疲れやすいといった体質の偏り(証)に着目し、それを整えることで結果として体重や体調の改善を目指します。どちらが優れているかではなく、「病態への対処を優先するのか」「体質改善を軸にするのか」によって選択が変わります。
本当に痩せるのか?効果とやめどきは?
結論から言うと、漢方は「少しずつ体を変えていく」治療です。
漢方治療について「何kg痩せますか?」と聞かれることがありますが、短期間で劇的な体重減少を狙う治療ではありません。3〜6か月の継続で、体重や腹囲の減少に加え、むくみの改善、血圧や脂質の安定といった全身状態の改善を目標とします。肥満に関連した便秘、むくみ、関節の痛みなどに向く傾向があります。
やめどきは、体重や検査値が安定し、生活習慣のみで維持できるようになった時点です。効果が乏しい場合や副作用が疑われる場合には、早めに中止や変更を行います。漫然と続けないこともポイントです。
漢方薬による肥満症の治療の流れは?
まずは医師による診断で「肥満症かどうか」を明確にすることから始まります。
初診時に体重やBMIだけでなく、血圧、血液検査、生活習慣を総合的に評価します。その結果、肥満症と診断され、漢方治療が適切と判断した場合にのみ処方を行います。治療は漢方薬だけに頼らず、食事、運動のアドバイスを組み合わせるのが基本です。

当院では、個別に対応し無理のない生活指導を心がけています。メタボ改善を目指した方、お気軽にご相談ください。
出典:あなたの肥満、治療が必要な「肥満症」かも!? – 日本肥満学会


