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クロチアゼパムの作用が分かります
リーゼとは

リーゼは、ベンゾジアゼピン系の精神安定剤です。不安やストレスによる心身の緊張を和らげる薬として、多くの医療機関で処方されていま。脳内のGABA受容体に作用することで、興奮を鎮めて、心を落ち着かせる働きがあります。
心身症による不安と緊張が続いたり、眠れない問題があったり、生活に支障がでているときに心身安定剤であるリーゼの処方が検討されます。
どんな剤型があるか?

リーゼは、5mg錠、10mg錠、そして、細粒10%があります。いずれも、田辺三菱製薬によって製造、販売されています。日本国内で処方薬として承認されていますが、一般的に欧米諸国では使用されていません。
ジェネリック医薬品について

いくつかの製薬メーカーにおいて、リーゼのジェネリック医薬品が製造されています。後発品の名称は、成分名のクロチアゼパムに製薬会社の短縮名が追加されています。
薬価について

先発品 | 後発品 | |
---|---|---|
リーゼ5mg錠 | 6.4円 | 5.7円 |
リーゼ10mg錠 | 10.1円 | 8.3円 |
リーゼ顆粒10% | 78.7円/g | なし |
リーゼの錠剤の後発品は、5mg錠および10mg錠において存在します。しかし、リーゼ顆粒10%は先発品のみです。クロチアゼパムの先発品をジェネリックに変更すると、価格が安くなります。
効果について

リーゼの有効成分であるクロチアゼパムは、脳内のベンゾジアゼピン受容体に結合することで薬理作用を発揮します。具体的には、神経伝達物質の一種であるGABA(ガンマアミノ酪酸)の働きが増強されます。
GABAは中枢神経系において抑制性の神経伝達物質としての役割をもっています。そして、過剰な神経興奮を抑制します。リーゼがGABAの働きを促進することで、抗不安作用や鎮静と筋弛緩作用などが生じます。睡眠への影響については、気持ちを穏やかにして寝つきを助ける働きがあります。
リーゼの最高血中濃度到達時間は、約1時間です。一方、半減期は約6時間です。
外来で使用した経験では、リーゼを内服してから30分くらい経過すると効き始め、約1時間で血中のくらいで効き目が最も強くなる印象です。そして、効き目が続く時間には個人差がありますが、5~6時間程度と推定しています。
リーゼには、どのような効能と効果がありますか?
心身症(消化器あるいは循環器の病気)によって現れる身体の症候および不安、緊張、抑うつ症状と睡眠障害に用いられます。自律神経失調症によって発症しているめまい、肩こり、食欲不振にも効能があります。その他、麻酔前投薬にも使用されることがあります。
副作用について
リーゼを服用すると、いくつかの副作用が現れる可能性があります。最も一般的なのはめまい、ふらつき、倦怠感などです。特に、薬を飲み始めた初期に感じる人がいます。頻度は不明ですが、眠気、集中力の低下が生じる懸念もあるので、内服後には車の運転や危険を伴う作業は避けるようにしましょう。また、人によっては、脱力感、消化器症状(吐き気、食欲不振、便秘など)が現れることがあります。
長期服用では依存性および耐性の形成に注意が必要です。そのため、医師の指示通りの用量を守り、定期的な診察で状況を確認します。
身体への影響として、頻度は明らかではありませんが、リーゼを服用してからに肝機能障害、横断が出現する可能性があります。なぜなら、本剤は肝臓で代謝されるからです。リーゼに限ったことはありませんが、薬を飲み始めてから、肝臓の数値に異常をきたしていないか、血液検査でチェックすることが重要です。
リーゼを服用できない人はどんな人ですか?
リーゼは中枢神経に作用する薬で、これらの病気の症状を悪化させるおそれがあります。閉塞隅角緑内障では眼圧が上昇し、視力障害が悪化するリスクがあります。また、重症筋無力症では筋肉の力がさらに弱まり、症状が悪化します。したがって、服用前には必ず病歴を医師に伝えなければなりません。
薬の服用方法

成人に対して、1日当たりクロチアゼパム15~30mg(総量)を3回に分けて服用します。症状に応じて、適宜、用量を減らします。高齢者に投与する場合は、少量から開始することが大切です。
依存性を防ぐために症状が出たときのみ薬を飲む方法もあり、屯用と呼ばれています。さらに、不安、緊張によって眠れないときに、就寝の1時間前に1錠を服用することもできます。
日中の場合であれば、どんな時に飲むかというと、会議、発表、面接などの場面に対する強い緊張や不安を感じる場合に活用できます。ストレスを受ける状況に置かれており、不安発作が始まりそうな感じがしたときにも屯用することがあります。
注意事項について
リーゼを飲み始めてすぐに効果が感じられない場合でも、自分の判断で量を増やすことは絶対にやめてください。 また、お酒と一緒に飲むと、薬の効きすぎや副作用が強く出てしまうことがあります。
「眠れないから」と寝る前にお酒とリーゼを一緒に飲んでしまう事例を経験したことがあります。その場合、翌朝にだるさが残ったり、眠気が抜けなかったり、ふらついて転んでしまう危険が高くなります。さらに、アルコールとリーゼの両方に依存してしまうリスクもあります。
リーゼの服用について、医師の指示通りに正しく服用することが大切です。人によってはリーゼの用量が多いとやる気の低下が副作用として現れることがあります。意欲の減退や無気力感を感じたら、再診のときに医師に相談しましょう。
妊娠中の方は原則としてリーゼを使用できません。精神的な症状のコントロールがどうしても必要な場合に限り、医師がリスクと効果を慎重に判断して処方を検討します。場合によっては、産婦人科の医師と相談することも必要になります。
授乳中の方は、赤ちゃんへの影響を防ぐため、授乳を中止するのが安全です。これは、薬の成分が母乳に移行し、赤ちゃんの成長に影響を与える可能性があるためです。
よくある質問と回答

リーゼと睡眠薬の違いは何ですか?
リーゼは主に不安や緊張を和らげる目的で処方される精神安定剤です。睡眠薬とは異なり、日中の服用でも比較的眠気が少なく、おだやかに心を落ち着かせる効果があります。睡眠薬が「眠りを促す」ことが主な目的であるのに対して、リーゼは「不安や緊張を和らげる」ことがメインです。
リーゼの類薬はありますか?
抗不安薬と呼ばれる薬として、リーゼと同じような働きをする薬として、デパス(エチゾラム)、ソラナックス(アルプラゾラム)、およびセルシン(ジアゼパム)などがあります。これらは症状や体質に応じて使い分けられます。
リーゼとデパスはどちらが強い薬ですか?
一般的には、デパス(エチゾラム)の方がリーゼ(クロチアゼパム)よりも作用が強いとされています。医療現場では、薬の効果を比べるときに「等価換算」という考え方を使います。これは、異なる薬同士でも、どれくらいの量が同じような効果をもつかを示したものです。たとえば、リーゼ10mgは、デパス1.5mgとほぼ同じ効果とされています。つまり、デパスは少ない量でも効く、比較的強めの薬と解釈することができます。
出典:向精神薬の等価換算 2017年度版 – 日本精神科評価尺度研究会
リーゼは市販されていますか?
ドラッグストアで購入することはできません。医師の診察を受けてから処方してもらう薬です。