ハルシオンの効果と副作用

ハルシオンとは

ハルシオンはベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。超短時間作用型の特徴をもっているので、入眠困難の症状がある不眠の治療薬として使われています。

 

出典：ハルシオン錠（トリアゾラム）- ファイザー

 

どんな剤形がありますか？

0.125mg錠と0.25mg錠があります。青色の錠剤です。0.25mg錠は割線があり、半分に割ることができます。

ハルシオンのジェネリック医薬品はありますか？

いくつかの製薬会社から、ハルシオンの後発品が発売されています。一般名のトリアゾラムに製薬会社の名前が追記された名称です。

 

 

先発品と後発品の薬価の違い

	先発品	後発品
ハルシオン錠0.125mg	7.1円／錠	5.7円／錠
ハルシオン錠0.25mg	10.7円／錠	5.9円／錠

 

効果について

ハルシオンはベンゾジアゼピン受容体に作用して、抑制性の神経伝達物質であるGABA（γ-アミノ酪酸）の働きを高めます。この作用機序によって、脳の興奮が抑えられ催眠作用が現れます。

 

出典：Triazolam – PubChem

 

 

ハルシオン（0.5mg）を服用すると、有効成分であるトリアゾラムが体内で速やかに吸収されます。服薬してから、1.2時間で最高血中濃度に達します。一方、半減期は、2.9時間です。

 

出典：医療用医薬品:ハルシオン – KEGG

 

ハルシオンには、どんな効能と効果がありますか？

不眠症、麻酔前投薬に用いられています。

類似薬はありますか？

超短時間型の睡眠薬として、マイスリー、アモバン、ルネスタがあります。

 

薬の特性上、寝つきが悪いタイプの不眠症に有効です。

 

海外の研究では、途中で目が覚めて再び眠れない悩みを抱える中年の世代に対してハルシオンの少量投与が有効であったと報告されています。

 

出典：Ferini Strambi et al. Effects of different doses of triazolam in the middle-of-the-night insomnia: a double-blind, randomized, parallel group study. J Neurol. 2017 Jul;264(7):1362-1369.

 

ハルシオンの強さはどのくらい？

睡眠薬の等価換算表を参考にすると、ハルシオン0.25mgは、アモバン7.5mg、ルネスタ2.5mg、マイスリー10mgと同じくらいの力価があります。類薬の中で、ハルシオンが最も強いと考えられます。

 

出典：向精神薬の等価換算 2017 – 日本精神科評価尺度研究会

 

超短時間型の睡眠薬の中では、効き目が強いタイプと言えます。

 

副作用について

注意すべき症状として、もうろう状態、夢遊病のような睡眠時随伴症の症状が現れることがあります。さらに、薬を飲んでから寝つくまでの記憶、途中で目が覚めたときの状況を覚えていないという前向性健忘が起きることがあります。

 

薬を飲んだ翌朝に、十分に目が覚めていない状態で、自動車の運転、食事を行うと、それらの記憶が抜け落ちるという報告もあります。その他の副作用として、翌朝に眠気が残ること、ふらつき、頭重感、めまい、倦怠感などがあります。

 

出典：ハルシオン錠0.125mg – 日本医薬情報センター

 

睡眠薬を飲んでいて眠れるようになった段階で、急に内服を中止する服薬していなかったときより強い不眠、不安の症状が現れることがあります。リバウンド症状と呼ばれています。

 

出典：Cosci et al. Acute and Persistent Withdrawal Syndromes Following Discontinuation of Psychotropic Medications. Psychother Psychosom. 2020;89(5):283-306.

 

ハルシオンは超短時間型の睡眠薬であるので、反跳性不眠が起きやすい傾向です。離脱症状も起きることがあるため、減薬するときは医師と相談しながら進めることを勧めます。

 

ハルシオンは睡眠薬の中でも、依存性の問題および高用量になるリスクが高いことが報告されています。

 

出典：Cloos et al. Hypnotics and Triazolobenzodiazepines–Best Predictors of High-Dose Benzodiazepine Use: Results from the Luxembourg National Health Insurance Registry. Psychother Psychosom. 2015;84(5):273-83.

 

メリットについて

ハルシオンの特徴は、効果の発現が早いので即効性があり、入眠作用の強さを併せ持っています。半減期が短いことから、翌朝の眠気が少ないです。

 

発売から長く経過しているので、ジェネリックが販売されており、薬価が安いという利点があります。

 

デメリットについて

入眠困難の改善には効果を見込めますが、中途覚醒、早朝覚醒が主体の不眠症に対しては効果不十分になることがあります。

 

注意すべき副作用として、服薬後に記憶が飛ぶことがあります。睡眠薬の中でも強い部類に入るので、依存性とオーバードーズになる危険があります。

 

薬の服用方法について

成人は1回につき、ハルシオン（主成分：トリアゾラム）0.25mgを、就寝前に内服します。ただし、高度の不眠症がある場合には、最大量として0.5mgを服用することができます。

 

高齢者は、1回につき0.125mg～0.25mgまでの用量です。

 

禁忌について

持病として急性閉塞隅角緑内障、重症筋無力症がある人は、ハルシオンを服用することができません。アゾール系抗真菌薬、HIVプロテアーゼ阻害剤などが処方されている人も、併用禁忌の対象となります。

 

注意事項について

個人差はありますが、睡眠薬を飲んだ翌朝に、だるさ、眠気、頭痛を感じる人もいます。そのときは、用量の調節あるいは服用するタイミング、他の睡眠薬への変更など、医師の診察を受けてください。

 

飲酒すると中枢神経系を抑える働きが増強されるので、健忘、もうろう状態が出現しやすくなります。ハルシオンを服用するときは、アルコール摂取をしないことが大切です。

 

 

医師の指示に従って適切にハルシオンを服薬することが重要です。効果がないからと言って、何錠も飲むことは禁止されています。