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子どもに多い睡眠関連律動性運動異常症
睡眠関連律動性運動障害とは
睡眠中に頭あるいは体幹を前後左右に動かしたり揺すったりする動作を繰り返す病気です。眠りの質を妨げ、本人が怪我をする危険があります。
赤ちゃん、幼児に発症することが多い睡眠障害です。
原因について
病気が発症するメカニズムは、解明されていません。
症状について
種類 | 運動の特徴 |
---|---|
躯幹を振るタイプ | 手と膝で四つ這いの姿勢をとりながら、体を前後に動かす。 |
躯幹を左右に回転させるタイプ | 胴体を一定のリズムで左右に動かす。脚のみ動かすこともある。 |
頭を打つタイプ | 頭を力強く前後方向に振る。ベッドに打ちつけるような仕草をする。 |
頭を左右に回転させるタイプ | 主として仰臥位において、頭を左右に繰り返し振る。 |
混合しているタイプ | 上記の異常な運動が、2種類以上みられる。 |
15分以内に症状が消失することが多いですが。本人はエピソードを覚えていないことが殆どです。
正常に発育した乳幼児でみられる症状です。律動性運動のみで、病気による影響がない場合は、病気であると言い難い側面もあります。
どのくらいの頻度ですか?
9ヶ月の乳児では59%、18ヶ月の幼児では33%、5歳児では5%の割合で発症することが報告されています。
出典:加藤 久美 他:小児の睡眠関連病態:小児科の立場から, 小児耳鼻咽喉科, 2013 34,5-10
10代、大人になっても起きることはありますか?
中枢神経系の異常、自閉症スペクトラム、精神疾患があると、成人になっても生じることがあります。
出典:Sleep Education by the AASM
診断の方法
基本的に、症状の経過によって診断することができます。
終夜睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害、てんかん、睡眠時無呼吸症候群の関与が疑われるときに、検討します。
一般的には、下記の条件に該当するときに、睡眠関連律動性運動障害の診断が確定します。
規則的に頭を左右あるいは前後に振ったり、胴体を左右に回転させるような動作がある。そして、異常行動が睡眠中(昼寝を含む)あるいは眠気を催しているときに出現することが観察されることです。
さらに、律動性運動が眠りを妨げている、日中の活動に影響している(眠気、集中力の低下など)、あるいは、異常行動によって自傷の危険があることが条件です。
どの診療科を受診すれば良いでしょうか?
かかりつけ医から高次医療施設の小児科に紹介してもらうことを勧めます。
対処法について
多くの場合は成長に伴って消失するので、養育者を安堵させることが大切です。本人が怪我をしないように、寝室の環境整備をしてください。具体的には、マットの使用、ヘッドギアによる頭部損傷の予防などが重要です。
病院に相談するときは、睡眠日誌を2週以上、記録してください。律動性運動の頻度、発症する時間帯を知ることができます。さらに、異常行動が出たときに、動画の撮影をしてください。これらの情報は、病気の診断に役立ちます。
治療の方法
小児において、怪我をする危険が高い激しい異常行動がみられるときは、治療薬の処方を検討します。具体的には、少量のクロナゼパムによる対症療法を行います。
一方、成人では睡眠時無呼吸の合併がないか調べることも大切です。もし、睡眠呼吸障害があると、律動性運動の症状が悪化することがあります。そのときは、CPAP治療による介入を考えることも必要です。