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病院に行けないときにインフルエンザを自力で対処
はじめに

冬季になって、高熱、寒気、全身のだるさに突然襲われたとき、「これはインフルエンザかもしれない」と不安になることがあります。しかし、すぐに病院へ行けるとは限りません。
仕事が忙しい、子どもの世話がある、夜間あるいは休日でクリニックが閉まっていて診察が受けられない。誰にでもそうした事情があります。そんなとき、自力で何とかして症状を楽にしたいと思う人もいるかもしれません。
あなたは、病院に行かずに即効で治す方法を探していませんか。たしかにインフルエンザ感染症は発症から48時間以内に早めに抗ウイルス薬を服用すれば、回復が早くなります。けれども、実際には受診できない状況も多く、また薬を使っても適切なセルフケアをしなければ回復は遅れてしまいます。
このページでは、インフルエンザ症状に対する自宅療養の基本、そして「この症状が出たらすぐに受診すべき」という判断のポイントまで、解説します。
インフルエンザの主な症状と経過について
インフルエンザは、冬季に流行するウイルス感染症です。症状の特徴として、突然の高熱や寒気、関節痛、頭痛、倦怠感などの全身症状が強いことがあげられます。
症状が出始めてから1〜2日が最も病状が重く、3日目以降に熱が下がり始めます。一般的な成人であれば、1週間〜10日ほどで、インフルエンザの症状がおさまり自然治癒します。
一般的に、健康で65歳未満の成人、かつ、妊娠していないなら、医療機関を受診せずに自宅療養が可能です。
出典:Self-care for the flu – Mayo Clinic
インフルエンザの症状別の自分でできる対策

インフルエンザのつらい症状に対して、少しでも早く楽になりたい場合に、自分でできる対処法をお伝えします。
高熱があるとき
高熱が出た場合は、まず冷やすことが最優先です。額、脇の下、首元など太い血管が通る部位について、クーリングを勧めます。具体的には、ドラッグストアで販売されている冷却ジェルや氷枕で冷やすと、体温が下がりやすくなります。
水分補給も必須で、スポーツドリンクや経口補水液などを少量ずつ、こまめに摂取しましょう。
インフルエンザ症状に効く市販薬(熱を下げる薬)を使うと一時的に症状が楽になります。ただし、発熱は、体内で免疫反応が活性化し、インフルエンザウイルスを排除しようとする生理的な反応です。そのため、無理に下げようとしなくても大丈夫です。
のどの痛み・咳
咽頭痛と咳嗽に対しては、部屋の乾燥対策と保湿が効果的です。加湿器や濡れたタオルを使って部屋の湿度を保ち、のどの粘膜が乾燥しないようにしましょう。
成人の場合、蜂蜜入りの温かい飲み物やうがいも、喉の炎症を和らげる助けになります。他の方法として、市販のトローチや咳止めドロップも一時的に症状を和らげるのに役立ちます。
咳が長引く場合は、無理に抑えようとせず、体を休めながら自然な回復を待つことが大切です。
関節痛・全身のだるさ
インフルエンザの関節痛や全身の倦怠感は、体がウイルスと戦っているサインです。無理をしないことが一番ですが、ふとんで横になる時間を長く取りましょう。とにかく、体を休めることが優先です。
痛みが強い場合は、薬局で買える解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を服用することで痛みが軽くなります。もちろん、この薬は同時に熱を下げる効果も期待できます。
出典:Managing the Flu – Self Care at Home – Fairfax County
自宅療養で守るべき3つの基本とは

インフルエンザから自力で早く回復するためには、「休養」「水分」「栄養」という3つの基本を徹底することが欠かせません。また、体を温かく保つことも大切です。
出典:Flu(How to treat flu yourself) – NHS
インフルエンザウイルスに対しては、私たち自身の免疫細胞が主体となって働き、体内から排除しようとします。免疫力を最大限に引き出すには、自然治癒を支えるような日々の療養生活が欠かせません。
1. 休養を最優先に
何よりも大切なのは、しっかりと休息を取ることです。無理をせず動かず横になる時間を確保しましょう。体を休めることは免疫系にとっても好都合です。そのために、十分な睡眠時間をとることを勧めます。
2. こまめな水分補給を
インフルエンザ感染症の場合、殆どのケースで高熱が発汗が増えます。つまり、体が脱水になる傾向です。スポーツドリンクや経口補水液、、麦茶、スープなどを摂取することで、体内から失われた水分を補充することが大切です。
3. 無理のない範囲での栄養補給
全身症状が強く食欲が低下しますが、消化に良い食べ物(おかゆ、雑炊、うどん、スープ)、果物(みかん、りんご:すりおろし)などで、最低限のエネルギーとビタミンを補給しましょう。体力の回復と免疫機能を保つために、少量でも栄養をとることが重要です。
自分で治すのが難しいと感じたら?

インフルエンザは自然治癒が可能なウイルス感染症ですが、すべての症状がセルフケアで乗り越えられるとは限りません。
これから示す症状がみられた場合は、自力の対処だけでは難しい可能性があります。インフルエンザは肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こすこともあります。医療機関を速やかに受診すべき目安としてください。
症状の兆候 | 注意すべきポイント |
---|---|
38度以上の発熱が2日以上 | 市販薬で一時的に解熱しても、再び熱が上がれば受診を検討します。 |
強い倦怠感や息苦しさがある | 呼吸が浅くなる、話をするのもつらく感じるときは診察を勧めます。 |
咳・痰・胸の痛みが悪化する | 咳が止まらない、濁った痰、胸が痛む症状は悪化のサインです。 |
水分がとれず、尿量が減る | 脱水や腎臓への負担が考えられ、点滴が必要な場合があります。 |