- ホーム
- キク科ブタクサ属が引き起こすアレルギー症状と対策
キク科ブタクサ属が引き起こすアレルギー症状と対策
ブタクサ花粉症とは
ブタクサは一年草の一種で、キク科の植物です。国内では、晩夏から初秋にかけて花粉を飛ばします。このブタクサ花粉が上気道の粘膜、目の結膜に付着すると、さまざまなアレルギー反応が生じます。このように、ブタクサ花粉によるアレルギー性鼻炎のことを、意味します。秋の花粉症と呼ばれることがあります。
ブタクサ花粉の飛散が早い地域では8月から始まり、9月がピークです。そして、10月頃まで続きます。同じ時期に、ヨモギ花粉も飛散します。
日本だけではなく、米国でもブタクサ花粉によるアレルギー症状で苦しんでいる人は多く、通常、9月中旬がピークのようです。
出典:Ragweed Allergy – American College of Allergy Asthma and Immunology
もともと、ブタクサは北米原産の植物ですが、環境の適応性が高く、繁殖しやすい特徴を持っています。
人間の活動や農産物に種子が付着することなどで、ヨーロッパ、南米、オーストラリアなどに、侵入外来種として、急速に世界に広がった背景があります。そのため、各地で、アレルギー症状の原因となっています。
症状について
ブタクサ花粉症の典型的な症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがあります。結膜炎を併発すると、目の痒み、充血が起きます。その他、のどの違和感、痛みを訴える人もいます。皮膚の痒み、発疹、そして、喘息にみられるような咳が出る場合もあります。
出典:奥田稔 他; ブタクサ花粉症からみた鼻アレルギーの診断と治療, 耳鼻臨床;61(3):285-293,1968
鼻炎の症状が主体であるので、風邪の症状と勘違いする人もいます。しかし、風邪が一時的な症状の発現に対して、ブタクサ花粉症の症状は長期間続くことが特徴です。さらに、ブタクサ花粉の飛散の量が多いと、アレルギー症状が悪化します。
鼻づまりのため、口呼吸が増えるので、いびきをかくようになる人もいます。
診断と検査方法
検査の種類 | 特徴 |
---|---|
血液検査 | アレルギー反応を引き起こすブタクサ花粉に対する抗体の量を測定します(特異的IgE抗体と呼ばれています)。この抗体の量が多いほど、体にとってアレルギー反応が強いことを示します。 |
皮膚テスト | 皮膚に微小な刺激を与えることでアレルギー反応を調べる検査です。特定のアレルゲンを皮膚に塗布し、その部位を小さな針で軽く刺します。皮膚の膨らみの大きさによって、診断されます。 |
治療の方法
ブタクサ花粉症の治療は、症状を軽減する治療が主体になります。一般的には、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬によって、アレルギー反応を抑えます。これらの効果が乏しいときは、ステロイドの内服を検討することもあります。
ステロイドを含んだ鼻スプレー、抗ヒスタミン作用のある点眼薬が処方される場合もあります。その他の方法として、花粉症の漢方薬を使うこともあります。
従来の薬でアレルギー症状が治まらない場合は、ノイロトロピン注射を考慮することもあります。
ブタクサ花粉症の根本的な治療法はありませんか?
スギ花粉症に保険適用があるような「ブタクサ花粉のアレルギーに対する舌下免疫療法」は、日本では認可されていません。
秋の花粉症に効く市販薬はありませんか?
一部の抗ヒスタミン薬は、スイッチOTC医薬品としてドラッグストアや薬局で購入することができます。薬剤師に相談して、適切なタイプを選びましょう。
予防する方法
ブタクサ花粉のアレルギー症状を防ぐ方針は、ブタクサ花粉との接触をできるだけ少なく抑えることから始まります。
午前中に花粉が飛散する傾向があるので、その時間帯に出かけるときは、不織布マスク、花粉症ゴーグルを活用する方法があります。
家の中に花粉を持ち込まないために、帰宅するときに服を脱ぎ、すぐにシャワーを浴びて髪の毛や皮膚についたブタクサ花粉を洗い流すことも効果的です。室内の空気をきれいにするために、定期的な掃除とHEPAフィルターのある空気清浄機の使用も勧めます。
アウトドア活動をする人、公園や河川敷で作業をする管理者、課外活動のため公園、グラウンドでスポーツをする子どもは、予防の方法を知っておくと良いでしょう。通勤のときに、ブタクサが生息している河原や堤防、空き地などを通る場合も注意が必要です。
よくある質問と回答
ブタクサは、どこに生えていますか?
北海道から沖縄にかけて、日本全国の各地でみられます。道端、森林の端、河川の土手、農園、果樹園、牧草地などに生息しています。
ブタクサは成長すると1メートルの高さに達します。一方、オオブタクサはさらに大きく、高さ3メートルまで育つことがあります。
ブタクサ花粉症になると、喘息のような症状が起きることがありますか?
花粉が気管支に入り込んで、気道粘膜でアレルギー反応を引き起こします。その結果、咳が止まらなかったり、痰が切れなかったり、喘息に類似した症状が現れることがあります。
ブタクサ花粉症の症状がある人が注意すべき食べ物は何ですか?
ブタクサ花粉症の人は、いわゆる「交差反応」を引き起こす可能性のある食べ物に注意しなければなりません、これには、スイカ、メロン、キュウリ、バナナなどが含まれます。こららの食品を摂取すると、口周りや唇のかゆみ、唇の腫れが現れることがあります。花粉・食物アレルギー症候群と呼ばれています。
出典:大澤 陽子; 花粉・食物アレルギー症候群の現状と展望, 耳鼻免疫アレルギー;38(2):43-49,2020
ブタクサ花粉症が疑われる場合は、何科の医師に相談すれば良いですか?
耳鼻咽喉科、内科、小児科です。自分がブタクサのアレルギーを持っているか、体質を知りたい場合は、アレルギー検査を勧めます。