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たばこ依存症という病気:禁煙成功へのガイド
はじめに
ニコチン依存症は、タバコに含まれるニコチンに脳が強く依存してしまうことで、自力での禁煙が困難になる病気です。さらに、健康への悪影響があり、喫煙が関連した心臓と脳の病気の発症による死亡リスクが高くなります。
近年、健康志向の高まりとともに禁煙を意識する人が増えていますが、ニコチンの依存性は強く、意志の力だけでは乗り越えにくい側面があります。
このページでは、ニコチン依存症の症状や原因、治療法、日常生活での注意点に加え、適切な受診のタイミングや禁煙補助薬を用いた治療法についても解説します。
禁煙に苦しんでいる方や家族をサポートしたい方に向けのコンテンツです。それでは、一緒に勉強していきましょう。
ニコチン依存症とはどんな病気か
ニコチン依存症とは、タバコに含まれるニコチンが脳内の報酬系に作用し、喫煙がやめられなくなる病的な状態を指します。

習慣としてタバコを吸っていまう状況とは異なり、ニコチンによって脳の神経回路が変化し、「タバコを吸いたい」という衝動が制御不能になるのが特徴です。喫煙を継続することで、一時的なリラックス効果や快感を得られるため、無意識のうちに依存が深まっていきます。
そのため、本人に禁煙の意志があっても「病気」としての治療を要するもので、医療機関での対応が大切です。
ニコチン依存症が発症する原因
たばこへの依存が始まるきっかけは、普段の喫煙そのものにあります。タバコを吸うと、ニコチンが数秒で脳に届き、ドーパミンなどの快感を引き起こす神経伝達物質が放出されます。これが脳にある報酬系を刺激し、喫煙を繰り返すことで脳がニコチンを求めるように再構築されてしまいます。

ストレスの解消や休憩のルーチンとしてタバコ吸うことで、心理的・行動的な依存も加わります。その結果、喫煙を止めづらい状況になります。
喫煙者との付き合い、環境要因も影響を及ぼし、個人の意思だけでは抜け出せない背景によって、ニコチン依存症が発症します。
注意すべき点として、未成年の喫煙は、成人に比べてニコチン依存が早期に形成されやすいことが明らかになっています。
出典:Health Effects of Vaping – CDC
症状について
ニコチン依存症の主な症状は、タバコをやめようとしても強い欲求に逆らえず、再び吸ってしまうという行動パターンにあります。

一念発起して禁煙をやろうとすると、イライラや落ち着かない気分、不安、集中力の低下、睡眠障害、頭痛などの症状が現れます。これらは、離脱症状と呼ばれています。
これらは一時的な反応ですが、本人にとって不快で生活に支障をきたすため、禁煙を諦めてしまうケースも少なくありません。
出典:Nicotine dependence – Mayo Clinic
セルフチェック
ニコチン依存症かどうかを確認するには、セルフチェックが有効な第一歩です。代表的な方法に、厚生労働省が推奨するニコチン依存度テスト(TDS)があります。
このテストにおいて、喫煙本数や禁煙に失敗した経緯、離脱症状の有無などに答えることで、依存の有無や程度を判断できます。病院を訪問する前に、自分がどの程度依存しているかを客観的に確認しておくと、医師に相談しやすくなります。
ニコチン依存症の治療
治療の基本は、カウンセリングと薬物療法、行動療法の組み合わせです。医師との面談では、喫煙歴や動機を確認しながら、個別に治療の計画が立てられます。
35歳以上の場合で、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であり、すぐに禁煙する意思があれば、禁煙補助薬チャンピックスの処方ができます(保険適用)。2016年から、35歳未満の場合、ブリンウマン指数の条件は撤廃されています。
禁煙が成功することで、慢性閉塞性肺疾患、狭心症、高血圧、がん、脳卒中などの発症リスクが下がるメリットがあります。
禁煙外来の利用で、短期的な成功率は7割くらいと報告されています。禁煙補助薬チャンピックスを使うことで離脱症状が抑えられ、卒煙がしやすくなります。
出典:日本医師会
予防について
ニコチン依存症を予防するためには、まずタバコを吸い始めないことが何より重要です。喫煙がもたらす健康被害や依存の危険性を正しく理解し、好奇心や周囲の影響で喫煙を始めないよう意識することが大切です。

ストレスや不安を感じたときは、運動や趣味など別の方法で解消する習慣を持つことも予防に役立ちます。
よくある質問と回答
ニコチン依存症には初期症状はありますか?
明らかな初期症状はありません。喫煙の習慣が続いているうちに、気づかないうちに依存が進行していきます。禁煙が難しいと感じた時点で、すでにニコチン依存の状態にある可能性があります。
ニコチン依存症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
禁煙外来のある医療機関が基本です。近くにない場合は、内科や呼吸器内科でも相談できます。まずは、かかりつけ医に相談するのも良い方法です。
ニコチン依存症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
タバコを止めようと思って禁煙を試みても繰り返し失敗する場合や、健康に不安があるときが受診の目安です。迷ったら早めに医師に相談することをおすすめします。


