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COVID-19とインフルエンザ感染症の違いとは
初期症状について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状は、風邪やインフルエンザ感染症と変わりません。発熱、倦怠感、喉の痛み、咳の症状が主体になります。
感染経路の違いもなく、両者とも、飛沫感染、接触感染です。
潜伏期間の違い
インフルエンザウイルスの潜伏期間は、1~2日です。一方、新型コロナウイルス感染症の場合は、平均すると5日間の潜伏期間と推定されています。
経過の違い
インフルエンザの場合、発病してから3から4日目までが症状のピークとなり、その後、病状が改善していく傾向です。
新型コロナウイルス感染症の場合では、潜伏期が長いこと、そして、症状が7日間くらい続くことがあります。80%は自然に軽快していきますが、20%は重症化して、肺炎を併発します。さらに、高齢者、心臓、肺などの基礎疾患を有している人において、急性呼吸窮迫症候群を引き起こすことが多いです。
検査方法について
冬季に流行するインフルエンザでは、一般の病院、クリニックの外来において迅速検査キットで陽性と陰性の判定ができます。もちろん、実際に罹患しているかは、医師が症状の経過も含めて総合的に判断します。
新型コロナウイルス感染症が疑われるときは、PCR検査と呼ばれる遺伝子を増幅する方法で調べることができます。
しかし、インフルエンザの診断に用いられる迅速検査キットと比較すると、PCR検査の手技、検体の搬送は、煩雑です。そのため、感染症指定医療機関で実施することになっています。
新型コロナウイルス感染症の疑いのある人にPCR検査を行っても偽陰性となるケースもあるので、要注意です。
インフルエンザ検査でコロナウイルス感染症と区別できるか?
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況の中で、まずはインフルエンザ感染症と区別したいので検査してほしいという要望を受けることがあります。
・結論から言うと、区別できません。
インフルエンザが検査で陽性であっても、コロナウイルス感染症に罹患していないことを証明することができません。重複感染の可能性があるためです。一方、インフルエンザ検査が陰性であっても、コロナウイルス感染症の有無については、PCR検査が必要になります。
医療現場では、迅速検査を行うときに必要な防護用品が十分に行き渡っていません。さらに、防護をしていない医療従事者について、外来でのインフルエンザ迅速検査を一時的に中止するよう、医師会、岐阜市から通達がありました。
なぜインフルエンザ迅速検査を中止しているのですか?
鼻の中に綿棒を挿入すると、鼻粘膜が刺激され、くしゃみ、咳が出ます。同時に、被検者の唾液、鼻汁、痰が排出されます。周囲にエアゾルが発生し、防護が十分でない医療従事者が感染するリスクが高くなるためです。
当院では、院内感染を防止する観点から、インフルエンザ検査を中止しています。
治療法の違いはありますか?
新型コロナウイルス感染症の治療薬は確立されていません。一部の医療施設で、抗HIV薬、新型インフルエンザ対策に使われる抗ウイルス薬が臨床現場では試されていますが、有効性の検証が必要な段階です。
一方、インフルエンザでは、抗ウイルス薬(タミフル、イナビルなど)が開発されており、外来でも処方されています。