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起床時に鼻炎の症状がひどくなる【朝の発作】
モーニングアタックとは
モーニングアタックは、朝の起きがけに、多量の鼻水や発作的なくしゃみなど、鼻炎の症状が悪化する状態です。起床時にアレルギー反応による症状が増悪している現象です。
原因について
なぜ、朝早い時間に、鼻炎の症状が悪化するかについて解説します。
夜間に床、畳に落ちていた花粉あるいはハウスダスト・ダニを、朝方に吸ってしまうと、アレルギー反応が発生します。室内でペットを飼っている人は、ペットのふけも要因になります。
ふとんを畳んだり、押し入れに収納したり、起床してからの行動によって、アレルゲン(花粉、ハウスダスト)が空中に舞い上がります。その結果、アレルゲンを吸入してしまい鼻炎の症状が出現します。
自律神経のバランスも、モーニングアタックが起きる仕組みに関係しています。通常、夜間に副交感神経が優位になる睡眠に適した状態になっています。一方、朝の起床する頃から交感神経が優位になっていき、目覚めの準備が始まります。この移行期のときに、鼻粘膜の過敏性が上がることが、鼻炎の悪化に関与しています。
花粉症の症状の発現に関与しているマスト細胞は、夜中にアレルギーを引き起こす物質の放出が多くなります。体内時計による影響もモーニングアタックの発現に関係しています。
朝にひどくなる症状について
- 鼻水が止まらない
- くしゃみが連発する
- 鼻づまりが酷いので、呼吸が苦しい
- 目のかゆみがあり、まぶたが腫れる
- 咳が出る
鼻炎の症状があるため、眠りが浅くなります。寝起きに症状が悪化するので、しんどいと感じます。外来でモーニングアタックで悩んでいる人に話を聞くと、午前6時から7時頃の発現が多いようです。
アレルギー反応は鼻から副鼻腔にも波及するので、副鼻腔炎による頭痛が併発することがあります。
モーニングアタックがあると、どんな影響がありますか?
寝不足になるので、日中の眠気、集中力の低下などが現れます。頭がぼーっとする人もいます。ぐっすり眠れない結果、目覚めが悪く、イライラすることが多くなります。家事、仕事の効率が低下します。
モーニングアタックはどのくらいの期間、続きますか?
アレルギーの原因となっている物質によって異なります。スギとヒノキなどの春の季節性アレルゲンが原因の場合は、5月下旬には治まっていきます。一方、通年性の場合は、アレルゲンの暴露があれば、一年中続くこともあります。
治療について
朝方に悪化する鼻炎の症状を抑えるために、就寝前に抗ヒスタミン薬を服用する方法があります。夜間のアレルギー反応を抑制して、朝起きてすぐに起きる鼻炎の症状を軽減します。
具体的には、寝る前に第二世代の抗ヒスタミン薬を服用する対処法を勧めます。就寝前に点鼻薬を使って、鼻粘膜の炎症を緩和しておく場合もあります。
別の止め方として、起床してからすぐに、アレルギー性鼻炎に効果のある漢方薬を用いることもあります。
重症のモーニングアタックの場合は、どのような対処法がありますか?
第一世代の抗ヒスタミン薬(薬剤名:ポララミン)に加えて、抗ロイコトリエン薬を内服する方法を試しましょう。それでも、症状が治まらないときは、ステロイドと抗ヒスタミン薬の合剤(薬剤名:セレスタミン)を検討します。服用するタイミングは寝る前です。
市販薬で対処する場合は、どんな種類の薬がありますか?
薬局で購入できる第二世代の抗ヒスタミン薬として、アレグラ、クラリチン、アレジオン、タリオン、エバステルなどがあります。これらは元々処方薬でしたが、ドラッグストアで買えるように許可されたものです。スイッチOTC医薬品と呼ばれています。
予防について
モーニングアタックを防ぐためには、室内に花粉、ハウスダストを侵入させないことが大切です。帰宅時は、玄関前で衣服に付着した花粉を払い落とすることが大切です。その後、手洗い、うがいをしましょう。
部屋の掃除を頻回に行うこと、そして、花粉を取り除く機能のある空気清浄器を活用することを勧めます。HEPAフィルターを使うことがポイントです。
スギ・ヒノキ花粉の飛散する季節では、布団、衣服の外干しを避けて、乾燥機を使うほうが無難です。
ワセリンはモーニングアタックに対して、どんな効果がありますか?
鼻の穴の周りにワセリンを塗ると、浮遊する花粉が鼻に入るのを防ぐ効果があります。
アレルギー反応は、体内時計と密接に関係していることが分かっています。不規則な時間に食事摂取を行うと、アレルギー反応の強さや出現しやすい時間帯が変化します。不規則な食習慣、夜食など、食事のタイミングを見直すことも、モーニングアタックを防ぐために大切です。
出典:「食事の時間がアレルギーに強く影響する」 – 山梨大学プレスリリース