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ルネスタによる不眠症の治療
ルネスタとは
ルネスタは非ベンゾジアゼピン系の薬剤に分類されている医薬品です。催眠と鎮静作用があるため、不眠症の治療薬として認可されています。依存性、持ち越し効果が少ないという特徴があります。
ルネスタは、ラセミ体であるアモバン(一般名:ゾピクロン)から中枢神経への作用が強いS体を単離することで、創薬されました。
ジェネリック医薬品について
ルネスタのジェネリック医薬品はありますか?
国内では、いくつかの製薬会社から発売されています。一般名のエスゾピクロンに製薬会社の名称が続く形式で表記されています。
薬をジェネリックにすると、どのくらい費用が安くなりますか?
先発品であるルネスタ錠2mgの薬価が、63.0円です。一方、後発品であるエスゾピクロン錠2mgは、18.3~21.2円です。1錠当たり、3分の1まで価格が下がります。
効果について
ルネスタの作用機序は、有効成分であるエスゾピクロンが脳内のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、脳の活動を抑制させることです。その結果、薬理作用として眠気を誘発します。
ルネスタ(1~3mg)を服用して、有効成分が体内で吸収されてから、1時間で最高血中濃度に到達します。そして、5時間(半減期)経過すると、効果が消失していきます。そのため、エスゾピクロンの用量に応じて、作用時間は3~4時間程度と推定されます。
海外で行われた大規模な疫学調査によれば、不眠症の人にルネスタを投薬すると、入眠までの時間が短縮させたり、中途覚醒の回数を減らす効果があることが分かりました。さらに、睡眠の質が改善するので。日中の集中力が改善することが報告されています。
ゾピクロン(商品名:アモバン)、ゾルピデム(商品名:マイスリー)、エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)、ザレプロン(日本未発売)などのZ-drugsの中で、ルネスタは、短期、長期における有効性と受容性が最も良い印象です。
ルネスタは、マイスリー、ハルシオンと同様に、超短時間型の睡眠薬に分類されています。
国内では、どのような病気に処方されていますか?
不眠症です。
米国では、どのような病気に適用されていますか?
成人の不眠症に対して、認可されています。
出典:LUNESTA (eszopiclone) TABLETS – FDA
ルネスタとアモバンの違い
ルネスタ | アモバン | |
---|---|---|
有効成分 | エスゾピクロン | ゾピクロン |
錠剤の種類 | 1mg, 2mg, 3mg | 7.5mg, 10mg |
不眠の治療目的 | 入眠困難、中途覚醒 | 入眠困難 |
半減期 | 5時間 | 4時間 |
ルネスタは、眠りに対するS体の光学異性体のみで創薬されています。そのため、有効成分の量が同じであれば、ルネスタの効果が強いと言えます。そのため、ルネスタの剤形は1~3mgになっています。
最高用量で2剤を比較すると、ルネスタ3mg錠はアモバン10mg錠より作用時間が長いので、ルネスタのほうが効き目が長く続くと言えます。そのため、ルネスタは入眠障害のみならず中途覚醒の対策にも応用されます。
苦味については、両者とも起こりますが、ルネスタのほうが弱い印象です。
副作用について
頻度の高い副作用として、味覚異常、傾眠があります。その他、喉が渇く症状、めまい、げっぷ、消化不良、疼痛などがあります。
ルネスタを過量摂取した場合に起きる症状として、意識の消失、呼吸苦、不整脈、異常な眠気などがあります。自己判断でオーバードーズをしないように注意しましょう。
出典:Eszopiclone Side Effects – Mayo Clinic
ルネスタの用量が高い場合、他の向精神薬と併用している場合は、健忘、幻覚、夢遊病などの睡眠時随伴症の症状が生じやすいことが報告されています。依存性と離脱症状については、従来からある睡眠薬と比較すると少ない印象です。
出典:Rösner et al. Eszopiclone for insomnia. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Oct 10;10(10):CD010703.
ルネスタを飲んだ翌日に苦味を感じる人が多いです。口の中が苦いという症状は、よくある副作用と言えます。
薬の服用方法について
成人は1回1錠(主成分エスゾピクロンとして2mg)を就寝前に服用します。ただし、高齢者の場合は、1回の主成分としてエスゾピクロン1mgを内服します。
ルネスタ2mgの錠剤には割線があるので、半分に割ることができます。
注意事項について
ルネスタを服用するときは、処方箋に記載されている用量と用法を遵守することが大切です。
個人差はありますが、睡眠薬を飲んだ翌朝に眠気が残る人もいます。ルネスタを服用する場合は、翌日の眠気、集中力の低下が生じないことを確認する必要があります。眠気が残るときは、自動車の運転を中止してください。
アルコールを摂取すると中枢神経抑制作用を増強し、ルネスタの作用が強くなるので、注意しましょう。