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アモバンとルネスタとマイスリーの違いと使い分け方
非ベンゾジアゼピンの同種同効薬の比較
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、不眠症の治療に使用されています。国内では、3つの同種同効薬が発売されており、ゾピクロン、ゾルピデム、エスゾピクロンという名称の睡眠導入剤です。
この系統の薬はZ-drugと呼ばれており、睡眠の作用が主体となっている薬剤です。一方、筋弛緩作用や抗不安作用が少ないという特徴を併せもっています。
非ベンゾジアゼピン系の催眠鎮静薬は、超短時間型の睡眠薬に分類されており、寝つきが悪いタイプの不眠に処方されています。しかし、類薬の使い分けを知りたいという人が少なくありません。
このページでは、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の3種類について、効果、副作用、薬理作用の類似点と相違点を解説します。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の一覧表
アモバン | マイスリー | ルネスタ | |
---|---|---|---|
有効成分 | ゾピクロン | ゾルピデム酒石酸塩 | エスゾピクロン |
剤形 | 7.5mg、10mg | 5mg、10mg | 1mg、2mg、3mg |
割線入り | 7.5mg、10mg | 5mg、10mg | 2mg |
効能と効果 | 不眠症、麻酔前投薬 | 不眠症(統合失調症および躁うつ病に伴う不眠症は除外) | 不眠症 |
成人の用量 | 7.5~10mg | 5~10mg | 2mg |
高齢者の用量 | 3.75mg | 5mg | 1mg |
Tmax | 0.75~1.17時間 | 0.7~0.9時間 | 1時間 |
T1/2 | 3.66~3.94時間 | 1.78~2.30時間 | 4.83~5.16時間 |
副作用 | ふらつき、眠気、倦怠感、口の中の苦味、口渇、頭重感 | 眠気、頭痛、残眠感、悪夢、めまい、倦怠感、口渇、悪心 | 傾眠、味覚異常、頭痛、浮動性めまい、口渇、異常な夢 |
表中のTmaxは最高血中濃度到達時間、T1/2は血中濃度半減期を示す。それぞれの項目において、用量の違いによる範囲を表示している。
出典:アモバン- KEGG
マイスリー – KEGG
ルネスタ- KEGG
価格の比較について
1.アモバンの価格
先発品 | 後発品 | |
---|---|---|
アモバン7.5mg錠 | 13.6円 | 6.5円 |
アモバン10mg錠 | 15.3円 | 7.3円 |
2.マイスリーの価格
先発品 | 後発品 | |
---|---|---|
マイスリー5mg錠 | 27.3円 | 10.1円 |
マイスリー10mg錠 | 44.9円 | 14.5円 |
3.ルネスタの価格
先発品 | 後発品 | |
---|---|---|
ルネスタ1mg錠 | 39.3円 | 13.3円 |
ルネスタ2mg錠 | 63.0円 | 21.2円 |
ルネスタ3mg錠 | 77.3円 | 27.4円 |
どの薬が効果の発現が早いか?
マイスリーの即効性が最も高いです。3つの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中で、最高血中濃度到達時間が最も短いからです。
どの薬が効き目が長いか?
血中濃度半減期のデータから判断すると、ルネスタの作用時間が最も長いです。その次に、アモバン、マイスリーと続きます。
強さの違いとは?
アモバンの効き目が最も強いです。最大用量であるゾピクロン10mg錠は、非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤の中で、最も効果が強い剤形であると考えられます。
睡眠薬の等価換算表を参考にして、3つの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の力価を比較すると、アモバン7.5mgは、マイスリー10mgあるいはルネスタ2.5mgと同等の効果です。
出典:向精神薬の等価換算 2017 – 日本精神科評価尺度研究会
投薬期間制限の一覧と比較について
薬剤名 | 最大処方日数 |
---|---|
アモバン | 30日 |
マイスリー | 30日 |
ルネスタ | 制限なし |
ルネスタの処方日数については、医師が病状と副作用の発現の程度などを判断して、必要とする処方日数の期間を決めます。ただし、健康保険の審査によって投薬期間の限度が設けられているので、留意しましょう。
使い分けのヒント
アモバン、マイスリー、ルネスタは作用時間が短いという点で、類似しています。そのため、入眠困難に対する治療薬として活用することができます。
即効性と筋弛緩作用が最も少ない点を考慮すると、マイスリーが選択肢の一つになります。ゾルピデムの最高血中濃度到達時間は短く、ω1受容体選択性が最も高い特徴をもっているからです。
入眠困難のみならず中途覚醒もあるようなら、ルネスタを検討しても良いです。エスゾピクロンは他の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも半減期が長い特徴をもっているからです。ルネスタには剤形が3つあるので、用量の調節がしやすい利点もあります。
効果の強さの点から考えると、アモバンを考慮しても良いかもしれません。マイスリーあるいはルネスタの最高用量を用いても、効果が不十分であるときに考えます。
不眠症の人で忙しくて病院への定期的な受診が困難である場合には、処方日数の制限がないルネスタが選択肢になります。