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小児のいびきが心配なときに何科を受診すれば良いか
はじめに

「うちの子のいびき、このまま様子を見ていて大丈夫?」
「病院に行くとしたら、何科に相談すればいいの?」
お子さんのいびきに気づいた時、多くの親御さんがこのような不安を抱えていらっしゃいます。
実は、子どものいびきは、「自然に治る」ことが保証されるものではありません。扁桃腺やアデノイドの肥大、睡眠時無呼吸症候群の発症など、お子さんの成長や発達に影響を与える可能性があります。
そのため、大きないびき、苦しそうな呼吸を見つけたときは、適切な医療機関での診察を受けることが大切です。しかし、どの診療科の先生に診てもらうべきか分からないという声をよく聞きます。
このページでは、子どものいびきを相談できる適切な診療科を解説します。
まずは耳鼻咽喉科に相談してみる
子どものいびきが気になったら、まず地元にある耳鼻咽喉科のクリニックを受診することをお勧めします。
なぜ耳鼻咽喉科が最適なのか? 子どものいびきの多くは、以下の原因によるからです。
- 口蓋扁桃肥大:のどの奥の扁桃腺が大きくなり、気道を狭くする
- アデノイド肥大:鼻の奥の咽頭扁桃が肥大し、鼻呼吸を妨げる
- 鼻炎:鼻づまりにより口呼吸になり、いびきが発生
耳鼻咽喉科では、これらの原因を内視鏡検査やレントゲン検査などによって詳しく調べることができます。つまり、上気道の閉塞がどんな要因によって起きているのか調べることが得意な診療科が耳鼻咽喉科です。
特に3〜8歳のお子さんでは、扁桃腺やアデノイドが生理的に大きくなる時期のため、専門的な判断が必要です。鼻炎の場合は、アレルギー検査、薬物治療(点鼻薬、抗アレルギー薬など)などが行われます。
扁桃腺が大きい場合は、手術による根治を目指すことがあります。そのときに、耳鼻科は手術適応の判定ができることが特徴です。
小児科との連携で得られるメリット

かかりつけの小児科がある場合は、耳鼻咽喉科の先生に診てもらう前に相談されることも有効です。小児科医は、次のようなことを把握しています。
- お子さんの成長曲線や発達状況
- 過去のアレルギー歴や既往症
- 現在服用中の薬との相互作用
- 家族、兄弟、姉妹の詳しい病歴
小児科の先生は、これらの情報をもとに適切な耳鼻咽喉科への紹介状を書いてくれます。また、いびき以外の症状(夜尿、成長の遅れ、眠気、集中力低下など)も含めて総合的に評価を受けることができます。
出典:Tan et al. Approach to the snoring child. Singapore Med J. 2020;61(4):170-175.
睡眠専門医(睡眠外来)の役割とは?

大きないびきが観察されるときは、小児の睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われます。特に、無呼吸発作が何度もあったり、苦しそうな呼吸をしたり、病状が重い場合です。
睡眠外来の診察を受けた上で、終夜睡眠ポリグラフ検査によって、実際の睡眠中の呼吸状態、血中の酸素濃度の変化、睡眠の深さなどを調べます。そのデータによって睡眠時無呼吸症候群の正確な診断と重症度が決まります。
出典:Sleep Apnea in Children – NIH
医師は検査所見と臨床症状を総合して、口蓋扁桃肥大摘出術やアデノイド切除術を検討すべきか判断します。
睡眠専門医は、子どもの眠りや呼吸に問題があるかどうかを詳しく調べることが専門の医師です。一方、耳鼻咽喉科は、いびきや無呼吸の原因となっている鼻やのどの詰まりを見つけて、必要に応じて手術を行うことが得意な診療科です。
実際の診療では、この2つの診療科がチームを組んで治療にあたることがよくあります。睡眠専門医が詳しい検査でお子さんの状態を調べ、その結果をもとに耳鼻咽喉科が最適な治療法を決めるという連携により、より確実で安全な治療を受けることができます。
また、両方の専門医資格を持っている医師もいるため、そのような医療機関では、検査から治療まで一貫してサポートを受けることも可能です。どちらの場合でも、お子さんにとって最適な治療方針を決めるために、複数の専門的な視点から総合的に判断してもらえるので安心です。
症状別:いびきは何科の医師の診察がよいか?

子どものいびきが気になったときに、受診する診療科の目安としてご活用ください。
すぐに耳鼻咽喉科を受診する
- 毎晩大きないびきをかいている
- 鼻づまりが続いている
- 口を開けて寝ている
- 風邪が治ってもいびきが続く
まず小児科に相談する
- いびき以外にも気になる症状がある
- どこに相談していいか分からない
- アレルギーの薬を服用中
- 成長や発達が心配である
睡眠専門医への相談を考える
- 何度も呼吸が止まっているように見える
- 日中の眠気がひどい
- 夜中に何度も目を覚ます
- 耳鼻科で「睡眠外来を受診して」と言われた
- 扁桃腺・アデノイド手術を検討している
- セカンドオピニオンが欲しい
自分の住んでいる地域に適切な病院が見つからないときは、日本睡眠学会のホームページの睡眠専門医リストを参考にしてください。