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蜂毒アレルギーの症状と検査の方法
蜂とアレルギーの関係とは
ハチに刺されると、体内に蜂毒が入ります。その結果、IgE抗体を介したI型アレルギー反応が引き起こされて、全身症状が発症する現象です。血圧の低下や意識障害など、重篤なアレルギー反応が生じるときは、アナフィラキシーと呼ばれています。
原因について
蜂の刺傷部位から、ハチ毒が体内に吸収されます。皮膚に多く存在する肥満細胞が活性化して、炎症を引き起こす物質を放出します、同時に、ハチ毒を抗原として認識するIgEが産生されて、アレルギー反応が発生します。
出典:ハチ毒に対する生体防御反応の機構を解明 – 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部
蜂毒には多数のアレルゲンが含まれており、ハチの種類によっては共通の抗原を有する場合があります。そのため、アシナガバチに刺されてアナフィラキシーが発症した人は、スズメバチに刺されても同じアレルギー反応が出る危険があります。
出典:平田博国 他:ハチ毒とアナフィラキシー,アレルギー;67(2):89-97,2018
どんなハチの種類が、蜂アレルギーを引き起こすことが多いですか?
スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチです。
出典:ハチ毒アレルギー – 山梨大学医学部附属病院 アレルギーセンター
症状について
軽症の場合は、ハチに刺された部位に、疼痛、発赤、腫脹などの局所症状が出現します。しかし、蜂毒に対するアレルギーを持っている人の場合は、じんましん、嘔吐、浮腫、呼吸困難などの全身症状が出現することがあります。
アレルギー反応が重症になると、意識障害、血圧低下などのアナフィラキシーショックが発生し、死に至ることもあります。
どのくらいの人が蜂に刺されて死亡していますか?
林野庁の発表によれば、毎年10~20人程度の人が死亡しています。
林業、電気工事業、養蜂家などの職業に従事しており、ハチに遭遇しやすい職場である場合は、注意が必要です。
最近では、一般の方において、キャンプ、登山をする人が増えています。山林に出かけるときは、ハチ刺傷の危険性について知っておきましょう。
林業の仕事をしている人では、ハチ毒アレルギーの陽性の割合はどのくらいですか?
岐阜県が行った調査によれば、林業の現場で働いている人の27%にハチ毒アレルギーがあると報告されています。
出典:ハチ毒アレルギー対策に関する調査結果 – 岐阜県 森林整備課
診断の方法について
静脈採血(2ml程度の血液採取)を施行します。そして、血液中に検出されるハチ特異的IgE抗体の測定(RAST法)を行います。蜂毒に対するIgE抗体が高い数値であると、アレルギー症状が出やすくなるという解釈です。
費用について
蜂アレルギー検査:11,000円(税込)です。
※IgE測定(ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチ)にかかる料金です。
予防のために、IgEを調べる場合は、健康保険を適用することができません。
検査結果の受け取り方
ハチに対するIgE抗体の数値が記載された検査結果を、あなたの住所に郵送します。検査の結果は5日程度で分かりますが、郵便の事情によって、結果の到着には1週間かかります。
後日、医師による診察を希望されるときは、別途、3,300円がかかります。十分に理解して頂いた上で、検査を受けてください。電話、メール、LINEによる検査結果の説明を行っていませんので、ご了承ください。
予防について
抗体検査の結果において、ハチに対する特異的IgEの数値が高い場合は、アナフィラキシーが起きる危険が高いので、携帯型のアドレナリン自己注射製剤(エピペン)を所持することを勧めます。
IgE抗体が陰性であった場合でもアナフィラキシーが起こり得るので、注意をしてください。以下の場合、予防のためにエピペンを所持したほうが無難です。
- 過去に蜂に刺されて、ひどく腫れた
- 強いアレルギー症状が出現したことがある
- 元々、アレルギー体質である
日頃から、エピペンの自己注射の練習をしておくことが大切です。