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インフルエンザ感染を予防する薬
インフルエンザ予防投薬とは
冬場になり、気温が下がると、インフルエンザが流行します。予防したい方は、ワクチンの接種をしていることが多いと思いますが、忙しくて、何も対策できなかったという場合もあります。
そんなとき、家族がインフルエンザに罹ったけど、どうしても自分は罹りたくないという、急を要する場面があります。
- 試験日が迫っており対策したい
- 教育関係の仕事のため休めない
- 外せない仕事があるので予防したい
インフルエンザ予防ができる薬を利用できます。
薬の効果について
病院の外来でインフルエンザの治療に使われている薬として、次の三つがあります。ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれています。
- リレンザ(ザナミビル)
- タミフル(オセルタミビル)
- イナビル(ラニナミビル)
インフルエンザウイルスはヒトの細胞内で増殖します。ウイルスが持っているノイラミダーゼと言う酵素のはたらきで、人の細胞から外に放出され、感染が拡大していきます。
ノイラミニダーゼ阻害薬を用いると、体内でのウイルスの増殖が抑えられます。通常は治療に用いるのですが、この薬を発症の予防に使うことができます。
予防目的に処方される薬の種類
現在、飲み薬ではタミフル、吸入するタイプの薬として、リレンザ、イナビルが予防としての処方が認められています。成人の場合について、薬の用法と用量、薬を飲む日数、薬が効いている期間を説明します。
タミフル | リレンザ | イナビル | |
---|---|---|---|
用法 | 経口 | 吸入 | 吸入 |
用量 | 1回75mg | 1回10mg | 1回40mg (20mg) |
日数 | 7~10日間 | 10日間 | 1日 (2日間) |
期間 | 7~10日間 | 10日間 | 10日間 |
タミフル、リレンザの場合、治療に使う量の半分を、倍の期間、使用します。一方、イナビルは、単回投与の40mg(2キット)あるいは2日間の20mg(1キット)の使用です。
ゾフルーザの予防投与
ゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤と呼ばれるインフルエンザ治療薬です。有効成分は、バロキサビル マルボキシルです。
成人および20kg以上の小児について、 ゾフルーザ錠20mg、顆粒 2%分包のみ、予防投与について認可されています。
出典:ゾフルーザ -KEGG
薬の選び方
予防投薬は、ノイラミニダーゼ阻害薬が第一選択です。具体的には、タミフル、リレンザ、イナビルを用います。それらの薬とは作用機序が異なるゾフルーザの使用は、ノイラミニダーゼ阻害薬耐性株の感染が疑われるときに限定されます。
出典:2022/2023 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針 – 日本小児科学会
薬を使うタイミング
インフルエンザに罹った人と接触してから、いつまでに予防薬を使った良いでしょうかという質問を受けることがあります。なるべく早いほうが良いですが、下記に目安を書きます。
- 48時間以内:タミフル、イナビル、ゾフルーザ
- 36時間以内:リレンザ
インフルエンザ予防投与の対象者
下記の二つの条件に合致したときに、予防投薬の対象になります。
1.同居の家族、共同生活者がインフルエンザに罹患した
2.罹患した場合、重症になりやすい人であること
・高齢者(65歳以上)
・慢性の呼吸器疾患(気管支喘息、COPDなど)
・慢性の心臓疾患(心不全)
・代謝性疾患(糖尿病)
・腎機能障害
上記に該当するときは、薬を内服してから大きな副作用が出ても、厚生労働省が定めている「医薬品副作用被害救済制度」の対象となります。
受験生と家族の場合で予防を考えている方へ
上記範囲外での処方についてご希望があれば処方することがあります。ただし、薬剤の添付文書に記載されていない使用法になります。
万が一、重い副作用が起こっても「医薬品副作用被害救済制度」の対象外です。そのため、補償を受けられないデメリットがあります。十分に理解することが必要です。
費用について
健康保険の適応がないため、全額自費になります。
インフルエンザ予防投薬 価格 5,500円(税込)
※診察代と処方箋の金額を含みます。
※調剤薬局で別途、薬代がかかります。
ご希望の方へ
医師が診察を行い、インフルエンザの予防投薬に関する同意書を説明します。
当院では、15歳以上を対象とします。
未成年の場合は、必ず、保護者と一緒に来院してください。