- ホーム
- インフルエンザ・かぜの回復後に咳が残る理由と対策
インフルエンザ・かぜの回復後に咳が残る理由と対策
インフルエンザ、風邪の回復後に咳がひどいのはなぜ?
インフルエンザでは、発熱や全身のだるさといった症状が先に改善し、咳だけが残ってしまうことが少なくありません。
これはウイルス感染によって傷ついた気道粘膜が修復される途中であっても、さままざな刺激に過敏な状態にあるためです。冷たい空気や会話、軽い運動でも咳反射が起こりやすくなります。

その結果、「治りかけなのに咳がひどい」と感じます。多くの場合、感染が続いているわけではなく、回復の過程でみられる反応です。
インフルエンザ後の咳が長引くのは珍しくない
季節性インフルエンザでは、解熱後も咳が2〜3週間続くことがあります。そのため「インフルエンザが治ったのに咳が止まらない」という状態自体は、必ずしも異常ではありません。

ただし、すべての咳を「よくある経過だから大丈夫」と片づけてしまうと、別の病気を見逃す可能性もあります。咳の期間やどんなタイプであるを見極めることが、適切な判断につながります。
空咳(乾いた咳)が続くときに考えること
痰を伴わない乾いた咳は、ウイルス感染の後に気道が過敏になる「感染後咳嗽」でよくみられます。また、咳喘息のように喘鳴(ゼーゼー)がなくても咳だけが続く病気もあります。

空咳は周囲から、軽症に見られがちですが、本人にとっては、夜ぐっすり眠れない、会話に少々が出るという症状が問題になり「つらい悩み」です。そして、周りの目も気になるので、咳払いも躊躇してしまいます。咳が長引く場合は、原因を調べることが大切です。
出典:藤森 勝也 他; III.感染後咳嗽(かぜ症候群後咳嗽), 日本内科学会雑;109(10):2109-2115,2020
痰がからんだ咳が続くときに考えること
痰を伴う咳は、気道や肺に炎症や分泌物が残っているサインです。インフルエンザにかかった後に気管支炎や肺炎を合併すると、痰の絡んだ咳が長引くことがあります。
下気道のウイルス感染症があると咳と痰が数週間続くことがあるとされています。痰の色が黄色や緑色に変わる、息切れが出る場合は注意が必要です。
受診の目安
インフルエンザ後の咳は自然に軽快しますが、その目安はおおよそ2〜3週間です。この期間を超えて咳が収まらない、または、病状が悪化している場合は病院への受診を検討しましょう。

夜間の強い咳、息苦しさ、血の混じった痰、発熱の再発がある場合は、何らかの病気が咳を引き起こしているかもしれません。
出典:When to see a doctor(cough) – Mayo Clinic
何科を受診すべき?
風邪やインフルエンザの後に咳だけ残る、あるいは咳が止まらないときに、最初の相談先としては内科で問題ありません。しかし、咳が長引く場合には専門的な評価が必要になります。
咳喘息や感染後の咳嗽が疑われる場合は、呼吸器内科を受診することで、原因に合った治療を受けられるでしょう。
治療法について
咳が続く原因に応じて行うことが重要です。遷延性咳嗽では、気道の炎症や過敏性を抑える吸入薬や抗アレルギー薬が用いられることがあります。麦門冬湯などの漢方を併用して咳を抑えることも考慮します。
咳喘息が疑われる場合は、吸入ステロイドによる継続治療が基本です。痰を伴う場合には去痰薬を併用し、細菌感染が考えられるときは抗生物質を検討します。


