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高血圧なら禁煙を!【タバコが引き起こす血圧上昇】
はじめに:喫煙と血圧の関係が注目される理由
高血圧は沈黙の病と呼ばれ、自分で症状に気付くことなく、さまざまな臓器に障害をもらたします。特に、脳卒中や心筋梗塞など生命に危険がある病気の発症リスクを高めます。そして、喫煙が血圧や血管の健康に及ぼす影響が注目されています。

近年、喫煙率の低下がみられますが、中高年において健康診断で血圧が高いことを指摘されるケースも多いのです。しかし、いきなり血圧の薬は飲みたくないという場合も少なくありません。
そのため、嗜好品の一つである喫煙が血圧に及ぼす影響を知って、まずは、生活習慣の見直しから行うことが大切です。
そこで、このブログ記事では、「喫煙が血圧にどう影響するか」「受動喫煙はどうか」「禁煙すれば血圧は改善するか」といった疑問に対して、解説していきます。
喫煙と血圧の関係:医学的にどう説明されているのか
喫煙によって血圧が上がる主な理由は、タバコに含まれるニコチンなどの成分が交感神経を刺激し、血管を収縮させることです。具体的には、喫煙後してから心拍数が10~15回くらい高くなり、血圧が一時的に5~10mmHgくらい上昇します。

たばこの煙に含まれる一酸化炭素、一酸化窒素、および活性酸素は血管内皮にダメージを与えます。禁煙しないで放置すると、長期的には血管の弾力性低下や動脈硬化を促進します。慢性的な血圧上昇や動脈硬化に関連した病気のリスクを高めます。
出典:喫煙と循環器疾患 – 健康日本21アクション支援システム
喫煙と高血圧のリスク
タバコを吸っている人は、吸っていない人と比べて、高血圧を発症するリスクが高いということが知られています。医学研究によれば、喫煙の習慣が新たな高血圧発症の独立した危険因子であると示されています。

喫煙による血管ダメージ、内皮機能障害、動脈硬化の進行は、たとえ血圧が正常であっても、最終的には、狭心症、心筋梗塞、そして、脳卒中の発症を高めます。「健康診断で血圧が高いけど、自覚症状がないから大丈夫」と思い込んでいても、10年~15年以上経過すると、ある日、突然、重い病気になる可能性があります。
したがって、「喫煙=高血圧になりやすい」「高血圧の人がタバコを吸い続けるのは、とても危険」という視点をもって、タバコを吸う習慣を改善していくことがポイントです。
受動喫煙と血圧への影響
タバコを吸っている本人だけでなく、受動喫煙(他人のタバコの煙を吸うこと)も血圧や心血管リスクに悪影響を及ぼします。
喫煙や副流煙への曝露は、血管内皮機能の低下や動脈硬化を促します。タバコを吸う習慣がない人でも、受動喫煙によるタバコの煙の曝露があれば、将来、心臓、脳の病気になりやすいことが分かっています。

家庭や職場での受動喫煙に気づいていますか?
自分の血圧管理はもちろん、家族や周囲の人に対する健康にも気を配ることが大切です。
禁煙の効果:血圧は本当に下がるのか?
国内外の研究において、禁煙によって血圧が安定し、循環器系の負担が軽減されることが示されています。「禁煙すると血圧はいつ下がる?」という疑問がありますが、禁煙後20分くらいで血圧が下がることが分かっています。

喫煙による交感神経への刺激がなくなり、血管収縮が減ることで普段の血圧が落ち着きやすくなります。さらに、循環と肺の機能が改善し始めるので、長期的な血圧の安定化につながります。
禁煙が始まってから3~6年後には、狭心症、心筋梗塞のリスクが50%減少することが報告されています。
出典:The Benefits of Quitting Smoking Now – AHA
ただし、「禁煙したら、すぐに毎日の血圧が正常値になる」というわけではなく、タバコを止めた直後は離脱症状や体重変化で一時的に血圧が変動することもあります。しかし、粘り強く禁煙を続けておけば、数週間から数ヶ月くらい経過すると体調がよくなっていきます。
禁煙と血圧の改善を同時に進める方法
禁煙を成功させ、血圧改善につなげるには、「喫煙をやめる」だけでなく、生活習慣の全体を見直すことが効果的です。具体的には、減塩、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠など、心血管リスク要因を複合的に改善することが得策です。

医療機関の中でも、循環器内科は、高血圧の治療を専門的に行っており、同時に禁煙外来を開設しているケースが多いです。ニコチン依存症について、かかりつけ医に禁煙の治療相談をしてみることを勧めます。


